「国衆は強く、甲斐は災害続きで収穫が不安定」絶望的な境遇の武田信玄が愛読した意外な実用書!《大河ドラマ『豊臣兄弟!』で注目》
そんな難題をクリアするために、信玄が重視したのが「情報戦」だ。
他国について広く情報を収集するために、信玄は僧や巫女、剣術使いなど怪しげな人物も含めて、自分を訪ねてくる者には、なるべく会うようにしていた。
そうして得た情報をもとに他国を分析しては、スパイを送り込み、嘘の情報を流して、混乱させる──それが信玄の常とう手段である。
そして十分に相手国を切り崩したうえで、合戦を仕掛ける。そうすることで、兵の負担は少なく、かつ、戦に勝利することができたのだ。
信玄からすれば、孫子の『兵法』を読んだとき、「我が意を得たり」という気持ちだったに違いない。愛読書を超えた、信玄が戦国時代を生き抜くためのバイブルとなったといっても過言ではないだろう。
9歳から『庭訓往来』を読んで書状の書き方をマスター
さらに、信玄が「戦わずして勝つ」ために読んだ本を2冊、紹介しよう。まずは南北朝後期から室町初期に書かれた『庭訓往来(ていきんおうらい)』だ。
『庭訓往来』は、正月から12月までの25通の往復書簡を並べたもので、書状における様々なことを学ぶことができた。
日付や差出人、宛名の書き方といった基本的なところから、書き出しや締めくくりはどうすべきか、ご無沙汰している相手にはどう詫びを記すとよいのか、出陣命令への返事の仕方、正月の挨拶の仕方や花見のさそい方など具体的なノウハウまでを、実例から学ぶことができる。
例えば、こっちから手紙を書こうとしていたときに、相手のほうからイベントのお知らせが届いたならば「是より申さしめんと欲し候の処、遮つて恩問に預り」(こちらからお手紙申し上げようと思っている内にお招きのおたよりを頂きました)と書き出すと、相手も「誘ってよかった」と思うはず。
また、書状の返事を書こうとしたのに、新しい紙がない場合には、「白紙払底の間、反古を用ゐ候ひ所也。更に軽賤の儀に非ず」(料紙を使いきらしたので古い紙に書いています。貴殿を軽んじているわけではありません)の一言があれば、相手にも失礼にならないだろう。


















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