この連載では、一般的な「住みたい街ランキング」には登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。定番の「住みたい街」にはない「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。
ラブホ、デリヘルだけじゃない。歴史と文化の街 鶯谷で見つけた「住むとちょっといいところ」とは。
ラブホテルだけじゃない街
駅の北口を出て、線路を背にして立つと、目の前にはコンビニ、牛丼屋、弁当屋などが並ぶ短い駅前通りが延びている。どこにでもある風景だ。ところが、それら店舗と店舗の間の路地を一歩入ると、途端に様子が変わる。迷路というほどでもないが、曲がり角の多い細い道が、その奥にある風景を遮断するように延びる。両側にびっしり立ち並ぶのは、色とりどりの看板を掲げたラブホテルだ。
鶯谷駅(東京都台東区根岸1丁目)、2024年度の1日平均の乗車人数は2万4460人だ。山手線の駅でありながら、JR東日本の「1日平均の乗車人員ランキング」で上位100位にも入らず、156位だ。もちろん山手線では最下位に甘んじている(開業日20年3月14日の「高輪ゲートウェイ駅」を除く)。しかし、ラブホテルの密集度に関しては、間違いなく関東首位だ。駅周り半径300mほどの場所に50〜60軒がひしめいている。
私の本職は週刊誌記者だ。関わっている雑誌が男性総合誌だから、エロ系から政治まで、広く取材している。胸を張って言うことでもないが、デリヘル嬢などの取材で、鶯谷には何度か足を運んでいる。
鶯谷にはラブホテルだけではなく、この狭い地域にデリヘル業者も密集している。正確な数字は定かではないけれど、その数は200とも300ともいわれる。鶯谷とはそういう街だ。しかし、それだけではない。この街は、江戸から続く文化が色濃く残る場所でもある。


















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