都市再開発など大型プロジェクト中止が相次ぐ…人手不足だけじゃない、日本の建設費高騰を引き起こした「本当の原因」
発注者が工事代金の支払いを管理できる体制を組む必要があり、記事「もはや『富裕層しか建てられない』日本の住宅…欧米で普及する方式導入で価格は下がるのか」で指摘した。
さらにヒト情報の透明性確保では、2003年に政府が導入した「住民基本台帳カード」を使って工事現場で働く技能労働者の就労履歴やスキル情報を管理して透明性を確保するというアイデアを筆者は記事にした。これは2019年から本格導入された「建設キャリアアップシステム(CCUS)」によって実現したが、今後は標準労務費がキチンと守られているかどうかをCCUSで管理することで実効性のある仕組みにしていく必要がある。
シワ寄せが建設技能労働者に及ぶ
建設工事の透明性確保が進まないことで危惧されたのは、そのシワ寄せが建設技能労働者に及ぶことだった。実際に技能労働者の賃金はジリジリと下がり始め、「将来的に深刻な人手不足を招く」と心配する声も聴かれていた。しかし、その危機感は共有されることなく、建設業の構造改革は一向に進まなかった。
その原因は発注者側にもある。請負型ビジネスでは、「オープンブック方式」にしろ、「出来高払い制度」にしろ、発注者が主導的に取り組まなければ実現するのは困難だからだ。
2005年に耐震強度データ偽装事件(通称・姉歯事件)が発覚したときに、筆者は「善意の上に成り立った建設生産システム」に原因があると指摘した。当時、テレビ解説などでも「善意の上に成り立った……」というフレーズがよく使われたが、すべての建設工事関係者が正直に最善を尽くすことを前提とした日本式システムを続ける限り、悪意が入り込んだときに排除するのが難しい。
しかし、このときに講じられた対策は、構造計算書の確認検査を二重チェックする制度が導入されただけ。建設生産システム全体を見直すような構造変革にはつながらなかった。


















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