"脳に良い"との報告も「チーズの食べ方」の最適解――脂質のリスクをどう抑える? 健康効果を打ち消さないための「意外なルール」【医師が解説】

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結果を見ると、チーズを食べている群では、食べていない群と比べて認知症発症リスクが統計的に低い傾向が認められました。その差は100人当たりで言うと認知症になる人が4人から3人へと、約1人分少なくなったというイメージです。

日本の食生活に即した形で、「毎日大量に食べる」のではなく、「週1回以上」という現実的な回数だったことも興味深い点です。

もちろん、ここでも因果関係は確定したわけではありませんが、前述のスウェーデンの研究と同様の傾向があったのです。

発酵と「乳製品マトリックス」

もちろん、いくつか疑問は残ります。

なぜ低脂肪チーズではなく高脂肪チーズなのか。なぜ同じ乳脂肪でも、バターよりチーズなのか。ここでカギとなるのが「乳製品マトリックス」という考え方です。

乳製品には、脂肪だけでなく、カルシウム、たんぱく質、発酵に由来する物質などが含まれています。その多様な成分の構成がセットで体に入ることで、脂肪の悪影響が和らいだり、体に良い方向の結果になったりするかもしれないという視点です。

チーズは発酵食品であり、カルシウムも豊富です。同じ乳脂肪でもバターとは体への影響が違います。

例えば、カルシウムが脂肪酸と結びついて吸収や排泄に影響し、血管や代謝への負担が軽くなる可能性や、発酵が炎症や代謝に関与し、体の炎症が起きにくくなったり代謝が整いやすくなったりする可能性などが議論されています。

実際、チーズに含まれるビタミンK2や特定のペプチド、発酵によって生成される短鎖脂肪酸などが、脳の炎症を抑える可能性が基礎研究で示唆されています。

その結果、血管の老化や慢性炎症、腸内環境の乱れといった「認知症につながりやすい要素」に対して、ささやかでも「良い方向の影響が出るかもしれない」とされている。つまり、こうした仮説では、飽和脂肪酸の不利益を、チーズの多様な構成成分が打ち消すと考えられているわけです。

ただ1つ、現実的な注意点もあります。

研究の多くはプロセスチーズではなく、ナチュラルチーズに着目しています。プロセスチーズのような加工度が高い食品の多くには、塩分や精製炭水化物などが含まれています。 実際、プロセスチーズはナチュラルチーズに比べて塩分が濃いことも珍しくありません。

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