"脳に良い"との報告も「チーズの食べ方」の最適解――脂質のリスクをどう抑える? 健康効果を打ち消さないための「意外なルール」【医師が解説】
チーズは牛乳の脂肪がぎゅっと濃縮された食品なので、脂の多い種類ほど飽和脂肪酸が多くなります。
ご存じのとおり、飽和脂肪酸は摂りすぎるとLDL(悪玉)コレステロールを上げやすく、心血管疾患リスクを高める可能性があるため、控えるのが基本です。ところが、認知症予防を考えたら、摂ったほうがいいということですから、驚きの結果です。
「チーズが脳によさそう」の根拠
■スウェーデンの研究
この研究結果を示したのはスウェーデンの学者で、約2万8千人の中年層を平均20年以上追跡して、乳製品の摂取と認知症発症との関連を調べています。
興味深いのは「乳製品全体」ではなく、「高脂肪チーズや高脂肪クリームに限って、認知症が少ない傾向が見られた」という点です。具体的には、高脂肪チーズを週に複数回食べるグループでは、ほとんど食べないグループより、認知症リスクが約20%低いという結果が報告されています。
ここで1つ注意したいのは、これは「チーズを食べたから認知症が減った」と因果関係があると言い切れる研究ではない、ということです。
観察研究では、喫煙や飲酒、持病、運動習慣など多様な行動が複雑に絡むため、統計的に調整しても、“見えない差”を完全には取り除けません。例えば「チーズを日常的に食べる人は、栄養状態が比較的よい、かむ力・飲み込む力が保たれている、外出や人付き合いが多い」といった条件を同時に持っている可能性があり、こうした背景が結果に影響していることも十分に考えられます。
それでもこの研究が注目されたのは、追跡期間が20年以上と長く、認知症が始まるずっと前から食習慣を捉えている点にあります。長い目で見ても同じ傾向があった以上、控えめに考えても「チーズは脳に悪くはなさそう」と言えるところまできています。
■日本の研究
日本でも同じような研究が昨年末、株式会社明治や新見公立大学などの共同で発表されました。ヨーロッパと日本ではチーズの種類も食べ方も違い、背景となる食習慣も異なります。その点では、日本で行われた高齢者の追跡研究はもっと参考になるでしょう。
今回の発表では、2019年のアンケート回答者から抽出した対象者を用い、「週1回以上チーズを食べている群」と「食べていない群」を約4000人ずつ比べ、3年間の認知症発症を比較しています。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら