8.7坪の小さな店から年商34億円に成長した「猿田彦珈琲」、《求人倍率20倍・定着率93%…!》「元俳優」の社長が語る"人が集まる"組織の秘密

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伊藤大貴さん
ワールド バリスタ チャンピオンシップ2025でプレゼンをする伊藤大貴さん(写真:猿田彦珈琲)

ラテアートの大会「ジャパン ラテアート チャンピオンシップ」で2025年に2位になった野澤隆成さんが、17歳で入社したときも「入った時に世界で戦えるなんて誰も思っていませんでした」とのこと。

バリスタ本人たちに才能があったことは間違いないが、「いい環境」が人を育てたのだ。

ただし、その環境は、一朝一夕では作れない。

「土壌を耕して2カ月で完成させなさいって世の中の企業みんな言うんですけど。僕はそんなの不可能だと思っているので、1年、2年、3年といい土を作っていくイメージで。年輪のように土壌を耕しているつもりでやっています」

短期的に接客の質を劇的に上げることはできるかもしれないが、数年にわたり継続し、質を保ち続けるのは難しい。上質なトレーニングをしても、お店の先輩たちが「変な人」だったら、新人は育たないからだ。

だが、先輩がお見送りをしていれば、新人も「やったほうがいいんだな」と自主的に動く――。その循環を、15年かけて築いてきた。

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「今はまだ我慢の時期」

猿田彦珈琲の接客がなぜ高い評価を受けるのか——。強さの源泉が見えてきた。

大塚さんは、こうも付け加えた。

「そもそも僕は“経営”をしてないんですよ。マーケティングで客を呼び込むとか、そういう教科書通りのことはしていない。『非効率すぎるだろ』ってすごく言われます。24歳のうちの社員にも言われました(笑)

でも、もっとコーヒーをおいしくしたいとか、いい人を育てたいとか、そっちばかりをずっと見てきている。そうしないと手に入れられないものがあるので」

時間をかけて醸成した「自分たちじゃなきゃできないこと」。顔色を窺うサービスであり、利他的な組織であり、こだわり抜いたコーヒーであり……。すべて、非効率だから大手には真似のできない強みだ。だからこそ、「今はまだ事業規模を大きくしすぎない。苦しいけれど我慢の時期だ」という。

その裏には、「スモールビジネス」と「ビッグビジネス」の両立で会社を大きくしていくという、独自の経営哲学があった。バリスタの世界大会に数千万円を投じる理由。コカ・コーラとのコラボで学んだこと。そして、大会10日前まで入院していたバリスタが世界5位になった話——。

後編では、大塚さんの経営哲学と「我慢の時期」の真意に迫る。

外食ビジネスのハテナ特捜最前線
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【後編はこちら→→】世界大会の"極限"と日常の一杯——猿田彦珈琲が"両極端"な舞台で戦う理由。大塚社長に経営哲学を聞いた
笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界誌で17年執筆を続けており、企業と経営者の取材経験多数。「プレジデント・オンライン」「ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン」「月刊ホテレス」「FQ Kids」などで執筆。企業noteのライター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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