ラテアートの大会「ジャパン ラテアート チャンピオンシップ」で2025年に2位になった野澤隆成さんが、17歳で入社したときも「入った時に世界で戦えるなんて誰も思っていませんでした」とのこと。
バリスタ本人たちに才能があったことは間違いないが、「いい環境」が人を育てたのだ。
ただし、その環境は、一朝一夕では作れない。
「土壌を耕して2カ月で完成させなさいって世の中の企業みんな言うんですけど。僕はそんなの不可能だと思っているので、1年、2年、3年といい土を作っていくイメージで。年輪のように土壌を耕しているつもりでやっています」
短期的に接客の質を劇的に上げることはできるかもしれないが、数年にわたり継続し、質を保ち続けるのは難しい。上質なトレーニングをしても、お店の先輩たちが「変な人」だったら、新人は育たないからだ。
だが、先輩がお見送りをしていれば、新人も「やったほうがいいんだな」と自主的に動く――。その循環を、15年かけて築いてきた。
「今はまだ我慢の時期」
猿田彦珈琲の接客がなぜ高い評価を受けるのか——。強さの源泉が見えてきた。
大塚さんは、こうも付け加えた。
「そもそも僕は“経営”をしてないんですよ。マーケティングで客を呼び込むとか、そういう教科書通りのことはしていない。『非効率すぎるだろ』ってすごく言われます。24歳のうちの社員にも言われました(笑)
でも、もっとコーヒーをおいしくしたいとか、いい人を育てたいとか、そっちばかりをずっと見てきている。そうしないと手に入れられないものがあるので」
時間をかけて醸成した「自分たちじゃなきゃできないこと」。顔色を窺うサービスであり、利他的な組織であり、こだわり抜いたコーヒーであり……。すべて、非効率だから大手には真似のできない強みだ。だからこそ、「今はまだ事業規模を大きくしすぎない。苦しいけれど我慢の時期だ」という。
その裏には、「スモールビジネス」と「ビッグビジネス」の両立で会社を大きくしていくという、独自の経営哲学があった。バリスタの世界大会に数千万円を投じる理由。コカ・コーラとのコラボで学んだこと。そして、大会10日前まで入院していたバリスタが世界5位になった話——。
後編では、大塚さんの経営哲学と「我慢の時期」の真意に迫る。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら