スタディサプリが成長軌道に乗った後も、それを生徒や学校の先生に手渡すだけでは本当の意味で学習生産性を向上させることや、子どもの学ぶ楽しさに伴走することができないと山口さんは感じ始めていた。
そこで、山口さんは、人とテクノロジーのかけ合わせで子どもにコーチングができるような塾を経営したいと考えるようになったが、デジタルに特化する方針のリクルートと目指す方向が合わなくなっていった。
その結果、リクルートを離れることを決断した山口さんは、「LITALICO(りたりこ)」というベンチャーへの参画を経て、再び大企業のベネッセに行く選択をする。
「もう一度日本の教育改革に取り組みたいと思っていたときに、ベネッセがMBOによって上場を廃止し、四半期決算を気にせず、2030年以降の教育業界を見据えて、ゼロリセットしてもいいから、君に子どもたちや学校に向けた教育サービスのプロデュースを託したいと言われ、オファーを受けることにしました」
ベネッセを選んだ“理由”
詰め込み型の教育ではなく、夢中になれることを発見し、伸ばしていく。自らの経験から日本の教育改革に取り組みたいという、山口さんの内発的動機が大きかったが、その他にも、山口さんがベネッセの参画を選んだ理由が2つある。
1つは、「インターネットの波が訪れ、ヤフーや楽天をはじめとするIT企業が生まれて以来、30年経っても日本に『デカコーン』と呼ばれるような評価額が100億ドルを超える大きなベンチャーは生まれていないが、大企業の力を活用すれば、ベンチャー以上に社会的に大きなインパクトを生み出すことができる」と考えたからだ。
もう1つは、「オファーをくれたのが、ベネッセだった」からである。
教育はブランディングビジネスであり、ベネッセには70年以上にわたる信頼と実績の積み重ねがある。
それに、ベネッセは教育業界の総合ベンダーであり、オンラインで『進研ゼミ』を提供している一方、人を介して『東京個別指導学院』や『鉄緑会』という場を届けている。
さらには、学校向けの『進研模試』や『Classi』、社会人向けの『Udemy』などのサービスもある。まさに、これらは、ベネッセならではの資産である。
「しかし、つくり手の思いが強いだけ、サービスが複雑でわかりにくくなっており、それらをわかりやすくシンプルに再編集することができれば、きっともっとベネッセが持つ底力を引き出すことができるでしょう」
当時の教育に窮屈さを感じていた幼少期の経験、そこから一気に開放されて好きなことに夢中になった経験、リクルートに就職して教育事業に携わってきた経験がつながって、こう語る山口さんの目には、教育改革を通じて日本の未来をよりよいものにしたいと思う、内発的動機の炎が灯っているように見えた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら