「必死にその仕事に取り組んでいると、3年ほど経ったとき、自分が誰よりもそのビジネスに詳しくなっていることに気づきました。そして、自分自身でこの事業の計画を書いたほうがよいのではないかと思い始め、そのときに思いついたのが、『スタディサプリ』のビジネスでした」
幸か不幸か、上り調子の事業のフォロワーになるのではなく、たまたま沈みゆく船に乗ってしまったことにより、山口さんはリーダーシップの芽を開花させていく。
「スタディサプリ」の誕生
しかし、そこから「スタディサプリ」の事業化が順風満帆に進んだわけではない。
「リクルートはマッチング広告事業では、とてつもなく強い企業ですが、逆に言えば、それまで何十年も個人課金のビジネスには取り組んできていませんでした。
だから、教育事業の経営ボードで、ぼくが個人課金モデルを提案しても、そんなことできるはずがないと否決されてしまいました。それで、自分の部署のトップがわかってくれないなら、リクルート全社の新規事業コンテストに手を挙げて、経営陣に認めさせてやろうと思ったのです」
当時980円で映画ドラマが見放題というテレビCMを流していたHuluに触発された山口さんは、それを予備校に置き換え、月額980円で英語数学理科社会が見放題ということができないかと考えた。
「月に3万円から5万円がかかる予備校代が980円になります。最初にそんなCMが頭に浮かびました。これが実現すれば、社会の課題を解決し、教育環境の格差を解消できるかもしれないと考えました」
そんな思いで新規事業コンテストにエントリーした山口さんは、通常グランプリを獲っても5000万円、多くても1億円の開発予算しか付かないところ、最初から30億の開発予算を獲得する。
「それができたのは、そのときまでに、自分が本社の幹部候補生になっていたからでした。日々の仕事でパフォーマンスを出していて忙しいはずのやつが、そこまでやりたいと言うのなら、あいつにかけてみようと考えていただけたように思います」
大きな組織に所属していると、やりたいことができないとくすぶっている人がいたら、ぜひ山口さんの助言に耳を傾けてみてほしい。
「自分が『イントレプレナー(社内起業家)』だとするならば、言わば、経営陣は『株主』です。
もし自分が『アントレプレナー(独立起業家)』として教育ビジネスで立ち上げるなら、教育に興味があって、その領域に投資実績がある投資ファンドやエンジェル投資家を探して、口説きに行きますよね。それに、アントレプレナーなら、1回の投資会議で棄却されても、もう一度時間をもらって、足りていない部分を補って、何度でも挑戦するのではないでしょうか」


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら