岩田:陸上部に打ち込んだあとは、高校受験が待っていました。それまではずっと外で練習していたので、窪田先生が推奨されるように太陽光を浴びまくる生活をしていましたが、その分、勉強はほぼしていなかったわけです。偏差値ってなんですかというぐらいでした(笑)。ただ、部活に注いでいた情熱を勉強にシフトしたら、もうどこの高校でも選べるぐらいにグッと成績が上がったんです。中3になってからは、1日8〜10時間ぐらい勉強していました。楽しいとまでは言えませんが、苦しさも喜びになるという体験でした。スイッチが入ると、親や大人に言われなくても自分からやれるようになるのです。
「戦略的ほったらかし」の基礎は子どもへの信頼
窪田:私も親からやれと言われても、嫌なことは絶対にできませんでした。その辺りに、岩田さんの「戦略的ほったらかし」という子育て方法が生きてくるのだと思います。時代が時代だったこともあって、私は完全に戦略なきほったらかしで育ってきたと思いますが(笑)。勉強や宿題をやれと言われたこともなかったし、小学校の通知表も1や2ばかりでした。
岩田:単なる「ほったらかし」は放置や放任といったことだと思いますが、「戦略的ほったらかし」は子どもを信頼することで、自立を促し支えていくことを大切にしています。あれだけ私が夢中になった陸上も、もし親や誰かにやらされたことだったら、あそこまでは到達できなかったはず。没入して成果を上げるためには、自分がオンになった状態で取り組むことが必要だと思っています。窪田先生が親に言われずとも勉強に打ち込めた、つまり「オンになった」きっかけは何でしたか?
窪田:私は幼少期を過ごしたアメリカで差別を受けたことで、生存本能として強制的にオンにした、というほうが正確かもしれません。勉強して優秀な成績を取り、どうしても受けたくなかった反日教育の授業を避けるための飛び級をしました。それによって、「ああ、生きるために勉強が役立つんだ」「僕もやればできるんだ」と気づいたのです。絶望的な状況を努力で変えることができたという経験は、その後の人生のスタンスとしても根付いています。
(構成:鈴木絢子)
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