長びく鼻水や咳…それ、風邪じゃない可能性も。意外と知らない「冬に増えるダニ被害」の対策と治し方――「放置するとQOLが低下」と医師が忠告

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少し専門的な話になるが、この部位は免疫細胞の1つ、制御性T細胞(Treg)を誘導しやすく、自己成分や無害な外来抗原に対して免疫反応を起こさなくする「免疫寛容」が起こりやすい。

微量のアレルゲンを毎日少しずつ投与することで、免疫に「これは危険ではない」と学習させ、過剰なアレルギー反応を起こさない状態へ導く。

ミティキュアは、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎を治す以外の効果について、こんなデータも出ている。

2016年に『アメリカ医師会誌(JAMA)』に発表されたALKの臨床試験によると、ハウスダストに対する舌下免疫療法を、吸入ステロイド治療中の成人の喘息患者に追加したところ、ステロイド減量期の中等度~重度喘息増悪リスクが約3割低下したという。

主な副作用は口腔内の軽度な違和感で、重篤な全身性副作用は認められなかった。この臨床研究は、気管支喘息の根治療法として、世界に衝撃を与えた(ただし、気管支喘息患者への投与については、注意が必要)。

日本では鳥居薬品が導入。日本人患者を対象とした臨床試験で、通年性アレルギー性鼻炎への有効性と安全性が確認され、15年に保険承認された。

現在では、鳥居薬品が提供するネット上での研修をすませた医師がいる医療機関であれば、全国どこでも処方してもらえる。もちろん、筆者も研修をすませており、日常的に処方している。

アレルギーが起きにくい体質に

ミティキュアの難点は、即効性が期待できず、通常は3年以上治療を続ける必要があること。症状を一時的に抑えるのではなく、アレルギー体質そのものを治すことを目標としているためだ。長期継続により、将来的に薬の使用量を減らせる、あるいは不要になる可能性がある。

また、初回投与は必ず診察室で行うことが定められている。これは、急性のアレルギーであるアナフィラキシーへの備えである。初回投与後に口の中の違和感を抱く患者は多いが、アナフィラキシーほどひどい副作用が出ることは極めて稀だ。

以上、ハウスダストアレルギー治療の最前線を解説した。この領域は近年、急速に進歩している。長引く風邪にお悩みの方、ハウスダストアレルギーの可能性も考え、ぜひ最寄りのクリニックを受診いただきたい。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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