Netflixでさえ「正直、ノーマークだった」… 主演・岡田准一『イクサガミ』が"北米の批評家賞"ノミネートの衝撃

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フィクションとしての大胆さを許容しつつ、日本の文化や時代背景については嘘をつかない。その「オーセンティシティ」をどこまで追求できるかが、重要なテーマだったといいます。

そのうえで、本作を支えているのが、岡田准一さんを軸に、藤﨑ゆみあさん、東出昌大さん、伊藤英明さん、吉岡里帆さん、二宮和也さんらが顔をそろえるキャストラインナップです。世代も個性も異なる俳優たちが交差することで、物語に厚みが生まれています。

もっとも、今回のノミネートは、そうした豪華さそのものよりも、作品全体の設計や語り口が評価された結果だと思います。

「イカゲーム×将軍」では終わらない理由

海外メディアの一部では、『イクサガミ』を「『イカゲーム』×『SHOGUN』」と表現する見出しも見られました。ですが、この重ねて語られがちな見方について、髙橋氏は少し言葉を足しています。

「真田さんが『SHOGUN』で成し遂げられたことと、僭越ながら、同じ頂きを目指しているように感じています。ただ、通っている道は違う。違う道を通りながら、結果として同じ方向に登っていく、という感覚に近いです」

髙橋氏の言う「違う道」とは、日本人チームが主導し、日本発の企画として時代劇をアップデートするという選択そのものです。

そもそも時代劇は、企画としてハードルの高いジャンルでもあります。制作費がかさみ、視聴者層も限られがちなうえ、グローバルで成立させるには成功例が多いとは言えません。髙橋氏自身も、「簡単に手を出せるジャンルではなかった」と認めています。

転機となったのが、明治維新前後という時代の境目を描いた原作との出会いでした。和と洋、旧来の価値観と新しい文化が混ざり合う混沌の時代のその揺らぎ自体が、現代の視聴者にも通じると思ったそうです。「時代劇としての“一歩目”を踏み出すなら、この設定しかなかった」と、高橋氏は振り返っています。

最初に相談を持ちかけた相手が、岡田准一さんだったというのも象徴的です。岡田さんは役者としてだけでなく、プロデューサーの視点に加え、アクション設計の観点からも、具体的なビジョンを持っていたそうです。黒澤明作品から現代アニメに至るまで、参照にしたいアクションの例を共有しながら、「自分がやりたいこと」と「それをどう観客に届けるか」を俯瞰で捉えていたといいます。

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