ノミネートを受けたCritics Choice Awardsは、北米の映画・テレビ批評家によって選ばれる賞で、アカデミー賞やエミー賞の行方を占う、世界の賞レースの前哨戦として知られています。とりわけ近年は、配信ものや非英語作品に対する批評的評価の「入り口」としての性格を強めてきました。
韓国発の『イカゲーム』にとっては、作品の格を押し上げる助走となった賞でもあります。真田広之さん主演の『SHOGUN 将軍』も、この賞から躍進していった経緯がありました。
そうした文脈のなかで、日本主導のドラマシリーズが、しかも時代劇というジャンルで初めてノミネートされた意味は、小さくないと言えるでしょう。
Netflix自身も「正直、ノーマークだった」
今回のノミネートについて、Netflixコンテンツ部門ディレクターで、『イクサガミ』を担当するエグゼクティブプロデューサー髙橋信一氏は、「正直、ノーマークだった」と率直に振り返っています。
これまで『地面師たち』など話題作を手がけてきたプロデューサーですが、知らせを受けた瞬間は驚きのほうが大きかったといいます。
同じくノミネートされた「Best Foreign Language Series(外国語シリーズ賞)」部門の作品群の並びから見ても、その驚きは大袈裟ではないことが明らかです。
最終シーズンを迎えた『イカゲーム』が再び名を連ね、ここのところ賞レース常連のApple TV+作品も入っています。またムッソリーニの台頭を描いた『Mussolini: Son of the Century』のように、極めて政治性の強い歴史ドラマも含まれます。
この並びが示しているのは、単なるヒット作や話題作を集めたリストではない、という点です。エンターテインメント性に加えて、シリーズとしての積み重ねや、社会性も重視されています。つまり、強力な非英語作品が同じテーブルで比較・評価されているのです。
髙橋氏が制作段階で意識していた点とも実は一致しています。岡田准一さん、藤井道人監督とともに目指したのは、日本人のチームが主導しながら、時代劇というジャンルを現代的にアップデートすることでした。

















無料会員登録はこちら
ログインはこちら