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「社員は3人」「企業秘密は持たない」日本唯一のシンバルをつくる町工場76歳社長→東京スカパラや日本フィルから熱烈に支持される訳

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「なんて。まあ、社長やから言えることですよね。従業員ならとても言えません」と苦笑した。

燃えさかる加熱炉。すべての国産シンバルはここから生まれる(筆者撮影)

20年先のビジョンは「ない」

かつて小出社長はインタビューで、「目標はアメリカ最大のジルジャンに並ぶこと」と語っていた。今はどうか。

「20年先のビジョンはないですね。世界中で売れたらいいな、くらい」
肩の力が抜けている。しかし、ものづくりへの情熱は衰えていない。「繰り返しになるけれど」と、前編でも語った言葉を放った。ゆっくりと。

「赤ちゃんがなんで歩けるようになるのか。それは大人を見て、『自分も歩きたい』と思って努力するからでしょう。それと同じですよ。僕も、新しいことするのが楽しい。『何でできへんのやろう』を考えているうちに、『ああ、せや。これ、こうしたらいけるんちゃうか』って考えて試すのが面白いんです」

76歳の今も、小出社長は出荷前のシンバルを1枚1枚スケールで測り、自身で叩いて検品している。スティックを握り、耳を澄ませ、わずかな響きの違いを聴き分ける。納得がいかなければ、また削る。その繰り返しだ。

シャラララララン――。開いていた窓から風が入り、小出社長の背後にかけられていたウィンドチャイムが澄んだ音を響かせた。

社屋は静かな住宅街の一角に(筆者撮影)
前編:従業員3人の町工場から「世界5強」に挑んだ!→「資料も師匠ない」逆境から《日本唯一のシンバル》をつくった76歳社長の執念

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