購買行動や仕事の生産性を左右する「ちょっとした感情」の見過ごせない影響——行動経済学の視点で「幸せの仕組み化」を意識してみよう
今度は、簡単な計算問題です。
ボールペンとその替え芯が、合わせて120円で売られていました。ボールペンは替え芯より100円高い場合、替え芯はいくらですか?
直感で答えてみてください。
いかがですか? 「ボールペンが100円だから、替え芯は20円」と思った人が多いのではないでしょうか。
残念ながら、違います。問題文をもう一度よく読んでみてくださいね。
ボールペンは替え芯より100円高いのです。そう、正解は「ボールペンが110円、替え芯は10円」です。冷静になって考えれば、簡単な計算で正しい答えが出せるにもかかわらず、直感的に間違って答えてしまうのが「認知のクセ」の一つです。
ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンは、人間の脳は情報処理するときに2つの思考モードを使い分けていると言いました。直感的で瞬間的な情報処理である「システム1」と、理論的で注意深い「システム2」です。
私たちはたいていの場合、自分で気づいているよりもシステム1を使って決断してしまいます。直感的ではあるものの、そこに過去の成功体験や自分の好みや願望などさまざまなものが含まれていますから、それでうまくいくことも多いものです。
一方で、ペンと替え芯の問題のような間違いが起きる場合もあります。このような無意識下で起こる非合理な情報処理が「認知のクセ」です。
人は環境に意思決定させられている
では、あと1問。最後は「状況」です。
AとBの2つの円、どちらが大きいでしょう? Aは外側の円の大きさで比較してください。
正解は「どちらも同じ大きさ」です。でも多くの人は、Bのほうが大きく見えるはずです。
これはAの内側に小さな丸があることによる目の錯覚。「まったく同じ」と言われても、にわかには信じがたい気持ちになります。このような手法は、商品のパッケージなどによく利用されます。消費者に「こちらのほうがお得」「こちらのほうが信頼できそう」と思わせるのです。
これこそ、非合理な意思決定をしてしまう「状況」の一つで、Aが置かれた状況(小さな円が中にある)によって、Aの外側の円が小さく見えてしまったのです。


















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