「ラーメン1杯290円」で49年…24時間いつも満席「街の日常を支える一杯」を提供するローカルチェーンが明かす《値上げしない覚悟》と効率の極意

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学校帰りの学生、遅めの昼食をとるビジネスマン、カップル、夫婦、外国人、ひとりで来るおばあちゃん、おじいちゃん。客層は実に幅広い。

はかたやのラーメンは特別な食事ではなく、地域の人々の日常に溶け込む一杯なのだ。


はかたやのメニュー
はかたやのメニュー(筆者撮影)

「しっかりしてよ、毎日食べに行きたいんやけん」

営業統括部長の野村一美さんは言う。

「社員である私もびっくりするんです。290円ってすごいなって。コーヒーより、ケーキより安くラーメンが食べられる」

多くのラーメン店が値上げするなか、創業以来の価格を維持していることが、根強い人気につながっているという。

「お客様から『ありがとう』と感謝の電話をいただくこともあります。一方で、『しっかりしてよ、毎日食べに行きたいんやけん』と愛情のこもった厳しいご意見もいただきます。そう言っていただけるのが、ありがたいですよね」

「子どもたちも300円握りしめて食べに来てくれますよ。波はあるけれど、一日平均で1200人のお客様に利用していただいているんです」

カウンター26席のコンパクトなお店で、1200人もの客をどのように迎えているのだろうか。

「調理工程がシンプルなので、専門的な技術を持つ職人でなくても調理が可能なんです。それが価格を抑えることにもつながっています。麺を茹でてる間にどんぶりの準備もして、お客さんにすぐ提供できるようにコの字カウンターにするなど、オペレーションを効率化しています」と野村さん。

麺を茹で始める

注文を受けると同時に麺を茹で始める。硬麺は15秒、普通麺は1分と決まっている(筆者撮影)
湯切り
湯切りは湯の自重に任せて効率化。その間にどんぶりにスープの調味料を入れる。調味料は計量スプーン1杯ずつ、スープもお玉一杯と、ラーメンを作る工程はとてもシンプル(筆者撮影)

盛り付け
調味料の入ったどんぶりに茹で上がった麺を入れスープを注ぎ、麺を整えたら、青ネギとチャーシューを盛り付ける。スタッフが一度に運べるラーメンは2杯。出来立てのおいしい状態をすぐに届けられるよう2杯ずつ作る(筆者撮影)
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