50歳以降の「面倒くさい」は認知症につながる危険なサイン。80歳、100歳でも「格好いい超高齢者」になれるはず

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窪田:2000年には、デンマークの国立オーフス大学の助教授も務められました。現地での印象深いエピソードや、現在の活動に生きていると感じることはありますか。

デンマーク滞在時の酒向さんと子どもたち(本人提供)

酒向:まずよかったのは、自分が無力だということを実感したことです。それまでは日本の総合病院の脳外科部長であり、いわば「俺様」だと勘違いしそうなところもありました。でもデンマークには誰一人知り合いもおらず、英語もあまり通じなくて、自分は何もできない小さな存在だと思い知らされました。

もう一つよかったことは、ナチュラルとアートを兼ね備えた街の、心地よい環境に触れられたことです。デンマークは優れた建築デザインや都市計画でも知られる国で、快適な環境を何百年もかけて作ってきた場所なのです。この経験で、人を取り巻く生活の環境の大切さに目覚めました。

日本に帰国してから03年に「健康医療福祉都市構想」を提唱し、08年には国土交通省で「健康・医療・福祉のまちづくり委員会」を立ち上げ、14年に「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」を発信しました。

24時間いつでも散歩できる道をつくった

窪田:具体的にはどんな取り組みをしているのでしょう?

酒向:大きいものとしては、東京都と連携して行った「初台ヘルシーロード」事業があります。照明をかなり工夫して8.8キロの光の帯を作ったり、歩道を拡張・緑化して快適な歩行環境を作ったりベンチを設置したりと、山手通りを整備して、24時間365日いつでも散歩できるようにしました。

その次には東急と連携して、二子玉川駅前の大規模再開発でも、同様のまちづくりプロジェクトを実現しました。また、富山市との協働では、新幹線を富山まで延伸し、富山駅の市街地を歩いて楽しめる「コンパクトでウォーカブルなまちづくり」にも取り組みました。

東京都世田谷区の二子玉川でも、駅前地域の大規模再開発に協力。外に出たくなるまちづくりを目指している(本人提供)

私たちの構想は、障害者や高齢者が家に閉じこもって外に出ないという問題を解決し、さまざまな人が社会参加や社会貢献できる街を作ろうというもの。それらを促進する社会活動をタウンリハと呼びます。

私は03年に、タウンリハが促される社会参加環境では健康寿命が延びるはずだという仮説を立てていたのですが、科学雑誌『ネイチャー』がやってくれました。23年にまさにその仮説内容の論文が掲載され、私たちが考えていたことに対して、科学としても結果が出てきたと嬉しくなりました。

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