コンセンサス政治はもともとありえない 『日本政治の崩壊』を書いた北岡伸一氏に聞く

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──どうすればいいのですか。

文化人類学的にいえば、「王殺し」によって再生させる。民主国家には王を殺す代わりに選挙がある。選挙とはいったん現職をすべて殺すことだ。それで政治に活力が出てくる。課題克服を総選挙覚悟でやることだ。何事も穏やかにみんなの合意を得てという作法では、日本は衰退していく。今の選挙区定数は違憲状態になっていることもきちんと認識すべきだ。リスクを取って突進するところからエネルギーが出る。選挙覚悟で大連立でもいいし、選挙覚悟で小沢さんを切るでも、直に解散総選挙でもいい。選挙があるようなないようなことを言って、時間を空費していてはいけない。

──その際に橋下徹氏や石原慎太郎氏の役割は。

外交や防衛の政策では未知数だが、橋下さんには期待している。賛成できないこともあるが、国民は民主党にも自民党にも愛想を尽かした。橋下さんがいいと思うのも無理はない。石原さんについてはまったく評価しない。あの路線では国際社会を生きてはいけない。彼自身が歳だし、現在でも1週間に何時間働いているのか。メディアで作られた虚像が独り歩きしているのではないか。

──変化へ大きな一歩は民主党、自民党の大連立内閣ですか。

大連立は目標があってするもの。大政翼賛会的だとの批判が出たが、その批判は何の役にも立たない。大政翼賛会は全政党を集めて一つにしようとし、全議席に候補者を出した。大連立は定義上、複数の政党があるからこその連立。今は非常時、大連立にして果敢に課題を乗り切ってもらいたい。

きたおか・しんいち
1948年奈良県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。日本政治外交史専攻。立教大学法学部教授、国連次席大使、東京大学法学部教授などを経て、現職。著書に『清沢洌』(サントリー学芸賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞)、『自民党』(吉野作造賞)など。

(聞き手:塚田紀史 撮影:田所千代美 =週刊東洋経済2012年5月26日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 


『日本政治の崩壊』 中央公論新社 2415円 325ページ

 


  

 

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