「なぜ私がこんな目に…」がん再発で絶望の淵にいた50代女性が、生きる気力を取り戻すまで――「心のSOS」を感じた人にも"緩和ケア"が必要な訳

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終末期でいえば、薬物によって意識を低下させて苦痛を取り除く方法に「鎮静」というものがありますが、その必要性を見極めるのも、緩和ケアの専門医が担う役割の1つです。

その人の主体性を大切にしつつ、いかに最期を穏やかに過ごせるかを考えた場合、鎮静はその最後の手段ともいえるものです。あらゆる策を尽くしても取りきれないつらさがあり、かつ残された命が数時間から数日と見込まれる患者さんに対してのみ行う緩和ケアです。

時折「生きているのがつらいから、鎮静をかけてほしい」という患者さんがいますが、決してそういうための手段ではないことを、ご理解いただきたいと思います。

医療系麻薬を注射で使用するときの医療機器(写真:筆者提供)

まずは主治医に相談してみて

不安やつらさを感じるタイミングは、病気の種類や進行度、そして何よりその人によって異なります。

しかし共通して言えるのは、なるべく早い段階から緩和ケアに関わったほうがいいということ。病気に伴う不安や心配がある人は、生活に支障が出る前に受けている医療機関でまずは相談してください。

主治医から緩和ケアについて説明されない場合でも、希望すれば緩和ケアは受けられます。「緩和ケアを受けたいのですが」と主治医に尋ねてみましょう。医師に相談しづらければ、看護師や病院のがん相談室を通じて、紹介してもらうこともできます。

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通っている病院に緩和ケアの専門外来や入院病棟がない場合は、緩和ケアを行う別病院につないでもらうことも可能です。

筆者は緩和ケアを行う医師は、緩和ケアが必要となる病気(がんや心不全など)そのものの治療“以外”のすべてを診る総合医だと考えています。不安や心配がある人は、ぜひ早い段階で緩和ケアとの関わりを持ってほしいと思います。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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