「酒+脂肪+糖質」でトリプルダメージ。年末の暴飲暴食から"肝臓と膵臓を守る"コツ。「やってしまった」翌日はどう過ごす?【医師が解説】
さて、暴飲暴食でダメージを受けるのは、肝臓だけではありません。膵臓にとっても暴飲暴食は高リスク。例えば、アルコールは肝臓だけでなく、膵臓に対しても毒性を持っています。
膵臓は胃の背中側にある臓器で、食べ物を分解する消化酵素と、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンを作っています。
本来、膵臓は自身の臓器が消化されないよう、消化酵素が活性化しない仕組みになっているのですが、アルコールを大量に飲むと、消化酵素の前駆体であるトリプシノーゲンが膵臓内で活性化します。それにより、自分の膵臓を「自己消化」するような状態を引き起こしてしまうのです。
これが急性膵炎で、発症すると、みぞおちから背中に抜けるような激しい痛みと吐き気、発熱を伴います。重症化すれば、ショック状態や多臓器不全から致命的になることもあります。
日本で行われた全国調査では、2016年の1年間に急性膵炎で診療を受けた患者は推計7万8000人あまり。2大原因はアルコールと胆石で、男性ではアルコールが最多です。
そして、脂っこい料理もまた膵臓にダメージを与えます。
なかでも、健康診断などで「中性脂肪が極端に高い(1000mg/dL※標準値は30〜149mg/dL)」 と指摘されている人は、高トリグリセリド血症性膵炎という急性膵炎を起こすことがあるので、注意が必要です。
膵臓の問題が大きいのは、急性膵炎にとどまらないところです。
急性膵炎を繰り返すと膵臓は線維化し、慢性膵炎となります。消化酵素が出なくなり脂肪やタンパク質などが分解されなくなるため、必須の栄養素を吸収できなくなります。また、インスリンの分泌が減少するので糖尿病を発症します。
そして何より肝臓と違い、壊れた膵臓はほとんど再生しません。
どれくらい飲むと“危ない”のか
では、どれくらい飲んだら、肝臓や膵臓にとってキケンな領域になるのでしょうか。
日本では「健康日本21(第2次)」で、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として、「1日当たりの純アルコール量が男性40g以上、女性20g以上」と定義されています。また、脂肪肝のガイドラインでは、男性は30g/日未満、女性は20g/日未満を目安としています。



















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