「外食=不健康」「子どもの食事=手作りが正解」はただの思い込み——。堀江貴文「料理は最高のエンタメ」、食への飽くなき探究の背景にあるもの

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料理
食へのこだわりが強い堀江貴文氏の考える「うまい料理」とは?(写真:buritora / PIXTA)
「ホリエモンは野菜を食べない」。そんな誤解はいまだに根強い。だが本人いわく「本当にうまい野菜が大好き」。その背景には、福岡県八女市で過ごした幼少期の“圧倒的な食の原体験”がある。
また、現在の堀江氏はしばしば料理もするが、それは生活のための「自炊」ではなく、仲間と楽しむ“エンタメとしての料理”だ。食を「義務」ではなく「喜び」で選ぶという価値観の源泉とは何か。
今回は著書『僕が料理をする理由〜AI時代を自由に生きる40の視点〜』の中から一部を編集して紹介します。

野菜はうまいから食べている

いまだに僕のことを「野菜嫌い」だと思ってる人が、けっこう多い。でも、実際はまったく逆だ。

むしろ僕は、美味しい野菜が大好きだ。ただし、それは「健康にいいから」食べてるわけじゃない。うまいから食べてる。それだけの話だ。

僕が育ったのは、福岡県八女市という内陸の町。母方の実家である祖父の家は以前はみかん農家だったけれど、競争が激しくなって価格が下がるにつれ、キウイフルーツやいちごなどの果物栽培にシフトしていった。さらには自家用の野菜も育てていた。

僕は夏休みなどの長期休暇になると、祖父の家に預けられていたのだけど、今思えばあそこは〈うまいもの天国〉だった。

夏には畑で採れたばかりのトマトをかじり、冬には土の香りがするほうれん草や大根を食べる。どれも味が濃くて、香りが立っていて、「野菜は美味しいものだ」という感覚が、ごく自然に身体に染みついていた。

近くには川があって、秋になるとモクズガニ(上海蟹の近縁種)も獲れた。それを使ったカニご飯なんて、今思えばとんでもないごちそうだ。

さらに、米も自家用に作った新米を地下水とガス釜で炊いていたんだから、もう贅沢の極みだ。

ただ当時の僕にとっては、それが普通だった。

祖父の家で収穫された米は実家にも送られてきていて、僕たち家族はその米を食べていた。親戚が泊まりにきたとき、「こんなに美味しいご飯が毎日食べられて羨ましい」と感激しているのを聞いて、「は?」と思ったくらいだ。

水も重要だ。僕は実家でも地下水を毎日飲んでいた。今でこそミネラルウォーターや浄水器は当たり前だけれど、当時は珍しかったので、高校に入って初めて街の水道水を飲んだときの「まずっ」という感覚は、いまだに覚えている。

だから大学に入って東京で一人暮らししてからでも、食費を削ってでもミネラルウォーターは買っていた。

「野菜を食べたほうがいいですよ」と言ってくる人は、本当に美味しい野菜を食べたことがないか、子どもの頃にさんざん「野菜を食べなさい」と言われて、刷り込まれてしまったのかもしれない。

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