「裏切ってしまって、無責任で、ごめんなさい」 独身の女性上司への《妊娠報告》…。母になった"りょうこ"の複雑な胸中
喉の奥がぐっと熱くなった。ちょっとでも気を緩めると涙があふれてしまいそうだった。ずっと一番近くで一緒に仕事をしていたのに、もう今の私には彼女が本当は何を考えているのか分からないような、知ろうとしてはいけないような気がしてしまった。私は大きく息を吸って、メッセージを打ち始めた。
どうしても感じる裏切りの気持ち
何回も何回も文章を書き直した。結論としては、上司は私のお願いを受け入れるしかない。お互い分かった上での形式的なやりとりだけど、どう送るのが一番上司にとってストレスにならないのか、ずっと考えていた。
〈最近、つわりで座っているだけでも本当にキツくて……。本当は全部やりたかったんですけど、どうしても難しくて〉
いや、わざわざそんなつらそうなアピールしたらうざいよな。
〈この仕事、今こなせる状態じゃないので他の方にお願いできますでしょうか〉
うーん……。淡泊すぎて偉そうだよな。
そんなことをずっと考えながら、三十分くらいしてようやく五行程度のメッセージを書き上げた。最初から最後まで三回くらい音読をして、ゆっくりと送信ボタンを押した。バクバク心臓が鳴って、返信を待つのも体に良くない気がしたので、いったん忘れて仕事に戻ろうと思ったその時だった。
〈もちろんですよ。体が一番だからね。この件は私の方でボールを持つので大丈夫ですよ〉


















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