
執行開始。上級生グループのあとを追う弥太郎君
執行当日の午後五時半、浩一は指示通り、北中学校の裏手にある児童公園を訪れた。パステルカラーのベンチに座り、スマホで子供部屋同盟にアクセスする。
子供テレビには、見慣れた朝日堂書店の入口が映されている。十分が過ぎたころ、六人の少年たちが自転車でやってきて、店内へ入っていく。上級生グループだ。
撮影者だろう弥太郎君は、彼らのあとを追うように店へと入る。その日も上級生グループは、談笑しながら店内をうろうろとして、何も購入せずに出口へと向かった。万引きをしたのかどうかはまったく分からない。
でも弥太郎君は彼らが書店を出たところで、迷うことなく速水先輩の腕をつかんだ。
「兄ちゃん、ちょっとえぇか?」
速水先輩は怪訝な顔でこちらを見上げる。
「なんで声かけられたか分かるやろ?」
速水先輩の瞳に不安の色が混じる。
「ほな、事務室行こか?」



















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