
人殺しをしてくれる誰かがいてくれればいい
楠木奈央(くすのきなお)は、折り畳み式ナイフを見つめながら思う。わたしが生き残るためには、わたしが死ぬか、木村明美(あけみ)を殺すしかない。
生き残るために死ぬというのは、へんな表現だと思う。でも生き残るために死ななければいけないという状況を、奈央は知っている。
奈央はナイフの柄を握り締めてみる。でもナイフの刃先が人間の皮膚を裂いて血が噴き出す光景を想像すると、手の平はゆるゆるになっていく。
わたしの代わりに、人殺しをしてくれる誰かがいてくれればいいと思う。アニメや漫画に登場するヒーローが、わたしにもいてくれればいいと思う。
そんな折に、奈央は押し入れで見つけたDELLの14インチの黒いノートパソコンで、あるサイトへ辿り着いたのだ。
通信部と記されたチャットルームへ入ると、ジョン・万次郎なる人物がオンラインになった。



















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