──FBIはグーグルの特定の検索ワードを収集していると言われていますね。例えば“爆弾”とか“爆弾の作り方”とか“爆破”とか“テロ”とか、そういう危険なワードを検索している人物に、目を光らせているわけです。表サイトなら、簡単に個人情報まで辿れますからね。
FBIというのは人間の集団です。人間の集団にできることならば、当然その他の人間の集団にもできることです。なにせ一般のスーパーハカーさんが、FBI長官の個人データを盗み出した事件もあるくらいですからね。
つまり我々もまた、特定の検索ワードを収集していましてね。まぁ、場合によっては、それとなく子供部屋同盟へ誘導することもできるわけですね。
奈央はその文面を読みながら、にわかには信じられないが、同時にありそうな話だとも思った。そして確かに奈央はここ数か月、スマホで物騒なワードを検索していた。スマホとこのノートパソコンは、同一の自宅回線でネットに繋がっている。
──で、成敗レベルはいかがなされますか?
──Sクラスでお願いします。
──Sクラスですか!?
──やはりさすがに人殺しは無理でしょうか?
──いいえ、とんでもない。ここのところ生ぬるい成敗が続いたんで、タヒ案件、大歓迎でございます。ではでは、Sクラスにふさわしい動機をお待ちしています。
対象年齢が未成年だと、クラスが引き下げられることも
──ちなみに案件依頼に、年齢制限はありますか?
──あ、お年を召したかたですか?
──わたしは十四歳で、殺したい相手も十四歳です。
──なるほど、お若いかたでしたか。対象年齢が未成年だと、酌量措置でAクラスに引き下げられることもあるので、その点はご了承ください。では、動機レポートの拝読、楽しみにしております。
万次郎とのやり取りを終えたのちに、奈央はさっそく動機レポートに取り掛かった。動機というのならば、中学一年の四月まで振り返らなければならない。奈央はノートパソコンのキーボードに指先を置いて、たどたどしく言葉を打ち込んでいく。
*
学区の関係で、母校の南野小学校から、市立青葉丘中学校へ進学した生徒は三十人ほどだった。青葉丘中学校の一学年は八クラスもあり、学年の生徒数は三百人を超えていた。
どこにこんなにたくさんの子供がいたのかと思うが、東京のベッドタウンとして栄えたこの埼玉郊外の町は、都市開発によってまた少しずつ人口が増えているらしい。
奈央の在席した一年三組は、見たことのない他の小学校の生徒ばかりだった。でもクラスには、結衣(ゆい)がいた。結衣とは家も近く、同じ町内会で、小学生のときもよく遊んだ仲だった。



















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