ゴーン日産の野心、「ダットサン」を復活、新興国の覇者を狙う

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ゴーン社長直轄のK2プロジェクト

パワー88の実現に向けて、早くもゴーン社長は切り札を出した。これまで新興国では、日系メーカーのターゲットは主に中高所得者層。日産はダットサンで、より普及価格帯のボリュームゾーンへ切り込む。2輪車や中古車から新車を初めて購入する層に照準を定める。

ダットサンはかつて日産を代表する小型車ブランドだった。1958年に日産から初めて米国へ輸出された乗用車もダットサン。米国では「ダッツン」と呼ばれ、日産ブランドよりはるかに知名度が高かった。丈夫で長持ちするダットサンが持っていたDNAを新興国で復活させる。

その具体的内容は明らかになっていないが、14年からインド、インドネシア、ロシアの3カ国に投入する。各国で共通したモデルでなく、それぞれの国や地域の実情に合った車だ。インドネシアでは部品の現地調達率を高め、排気量は1・2リットル前後と、政府が策定中のグリーンカー・プログラムで優遇される車にする。同国では多人数乗車が多いため、マーチに近いコンパクトカーの車格で、3列シートの車が企画されているもようだ。

注目される価格は「エントリー・プライス・ポイント」(ゴーン社長)。インドネシアでは1万ドル(約80万円)以下、さらにインドでは「2500~3000ドル(約20万~24万円)の可能性もある」(同)。これまでの日系メーカーにはない最廉価帯の車なのは間違いない。

ダットサンはゴーン社長直轄のプロジェクトだ。開発コードは「K2」。K2は提携先であるロシア最大手の自動車メーカー、アフトワズが持つ小型車のプラットホームの呼称で、それをベースに開発を進める公算もある。ダットサンの基本的な開発は日本だが、現地ニーズに即した改良や部品調達、生産は現地で行い、低コストを実現する。

日産は00年代から海外の開発要員を大幅に増やしており、現在では約1・9万人のうち、5000人が海外拠点にいる。新興国の開発体制も強化され、インドでは10年秋の拠点開設からわずか1年半で、開発要員が720人まで増えた。研究・開発担当の山下光彦副社長は「グローバルな開発体制は日産の大きな強み。ダットサンの開発に向けた準備はできている」と語る。

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