中国の水産物「輸入停止」よりもヤバい資源の実態…1つの国に輸出入で過度に依存してはいけない

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筆者は2023年8月の中国の水産物禁輸について、その影響が限定的である理由を、大口の輸入国に突然止められたケースとしてノルウェーの事例を用いて解説しました。2014年にロシアがクリミア半島を併合した際、ロシアはノルウェーをはじめとする欧米諸国などからの水産物の輸入を停止し、現在に至るまで制限を続けています。

水産物輸入を禁止されたノルウェーでの結果

(出所)みなと新聞

当時、ノルウェーにとって隣国ロシアは輸出の約13%を占める最大の市場でした。大きな影響が懸念されましたが、その年の12月までの通年で輸出金額を締めてみると、結果は減少どころか過去最高を更新しました。そして上のグラフの通り、その後はロシア向けがゼロになっても、ノルウェーの水産物輸出金額はほぼ毎年過去最高を更新し続け、現在も好調を維持しています。

(出所)水産白書

上のグラフの青い部分をご覧ください。2023年8月に中国が日本産水産物の輸入を停止したものの、2023年通年の水産物輸出金額は減るどころか過去最高の3901億円を記録しました。

2024年はいったん減少したように見えますが、すでに2025年1〜9月累計の輸出額は前年同期比で19%増となっており、このままの勢いが続けば、再び過去最高を更新して4000億円以上に達する計算になります。つまり、中国向けがなくても、日本全体としては水産物輸出でそれほど困ってはいないのです。

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