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『国宝』がアメリカで賞レース開始 アカデミー賞に立ちはだかる競合「社会派作品」に勝算は?

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  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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しかし、その角度で見た場合、ノルウェーのヨアキム・トリアー『Sentimental Value』が大きなライバルとなりえる。

こちらも主人公(レナーテ・レインスヴェ)は舞台役者。映画監督の父(ステラン・スカルスガルド)が新作の主演をオファーしてくるが断り、代わりにアメリカ人女優(エル・ファニング)を雇うというストーリーで、作り手が作品に込める個人的な思い、カタルシスというテーマは、アカデミー会員にとって共感しやすいだろう。

『ドライブ・マイ・カー』以来の快挙なるか

トリアー監督とレインスヴェが組んだ『わたしは最悪。』は、2022年のオスカー国際長編部門に候補入りしつつ、日本の『ドライブ・マイ・カー』に敗れて受賞を逃した。彼らにとっては今度こそという思いがあるだろうし、投票者もここまでにこのふたりへの尊敬をなおさら高めてきている。

くしくも、西島秀俊が演じた『ドライブ・マイ・カー』で演じた主人公も、舞台俳優兼演出家だった。今度は、ノルウェーの舞台役者の話と日本の歌舞伎役者の話が争うことになるのか。それとも、政治的、社会的な映画がこれらを制するのか。

勝負をかけるには、何よりまずできるだけ多くの人に見てもらうのが大切。すでに中盤に入ったアワード戦線で、『国宝』がこれから効果的なキャンペーンを展開することを期待したい。

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