『国宝』がアメリカで賞レース開始 アカデミー賞に立ちはだかる競合「社会派作品」に勝算は?
『国宝』が、ついにアメリカで公開になった。
とは言っても、ロサンゼルスとニューヨークで、それぞれ1館、1週間だけの限定公開だ。目的は一般観客にチケットを買ってもらうことではなく、アカデミー賞国際長編映画部門の資格を得ること。本格公開となる来年2月までにアワード戦線で名前が挙がっていればおそらく人々の興味につながり、そこでようやく「興行成績はいくら」という話になる。
こうした事情から、この限定上映のための前売りが発売になった時点でユニバーサル・シネマAMC(ロサンゼルスのシネコン)が用意していたのは、最も小さいシアターだった。早くにかなり席が埋まったせいか、まもなく大きめのシアターがひとつ追加されたものの、限定公開も終わりに近づき、平日でもある現地時間19日には、また小さいシアターひとつに戻っている。
映画への現地の反応は?
さらに18日夜には、李相日監督、吉沢亮が日本から参加する上映会が、ロサンゼルス中心地にあるアカデミー博物館内のシアターで行われた。招待客にはなんらかの賞の投票者もいたが、このイベントには日本領事館やJETROなどが絡んでおり、会場の顔ぶれはさまざまだ。
映画への反応は良く、エンドクレジットが流れ始めると、拍手とともに「ブラボー!」の声も上がった。上映開始前、李監督は観客に向け、「3時間ありますけれど、みなさんトイレは行かれましたか?」と聞いたが、途中、トイレのために席を立った人は誰もいない。
日本のマスコミあるいは業界向け試写の感覚だと「当然だろう」と思うかもしれないが、アメリカでは必ずしもそうではない。渡辺謙演じる花井半次郎が舞台で血を吐くシーンではどよめきが聞こえたし、多くの観客は映画に没頭していたようだ。



















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