「いつの間にか被害者に…」。児童ポルノ、最近よくある3つの手口。深刻化する「グルーミング」、「画像を拡散するぞ」脅迫でエスカレート

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そうやって相手にとって大切な存在になったところで、次のようなメッセージを送る。

「○○のことをもっとよく知りたいから裸の写真を送ってほしい」

保護者がこうした文言だけ見れば、「いきなりこんなメッセージを送られたところで、うちの子がだまされるわけがない」と思うかもしれません。しかし、その思い込みが現実を見誤るのです。

子どもの目線で考えてみてください。困難を抱えている子どもたちにとって、ネットで知り合ったその相手は、先生や親にも言えないことを打ち明けられる、唯一無二の友達です。心の支柱になっていることすらある。

そんな相手から切実に望まれれば、「嫌われたくない」「恋人である証」などと思って送ってしまうこともあるでしょう。いや、加害者は初めからそれを目的として子どもにグルーミングを仕掛けているのです。

近年、児童ポルノにおいて加害者のグルーミングは深刻化しており、2023年にはその予防を目的とした「面会要求罪(16歳未満の者に対する面会要求等の罪)」という新しい法律が施行されました。

この法律は、実際に児童ポルノを作成していなくても、わいせつ目的で子どもに近づく行為そのものを違法と定めたものです。逆に言えば、国が新たに法律を作らなければならないほど、悪意を持った大勢の人たちが、子どもに接近できる時代になっているのです。

「画像をネットに拡散するぞ」と脅迫

3つ目の「セクストーション」とは、セックス(性的)とエクストーション(脅迫・ゆすり)の二語を掛け合わせた用語です。一言で表せば、「性的な脅迫」となります。

セクストーションもSNS上で行われます。子どもに対して優しい言葉で近づき、信頼関係を築いて性的な映像や情報を送信させるまでのプロセスは、これまで見てきた2つと同じです。

児童ポルノにおけるセクストーションでは、この映像や情報をもとにして子どもをゆすります。たとえば、子どもが仲良くなった相手に下着姿の画像を送ったとします。すると、それまで優しかった加害者が豹変し、こう言ってくる。

「画像をネットに拡散するぞ。それが嫌ならもっと過激な動画を撮って送れ」

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この場合の要求としては、性行為を撮影した動画を送れとか、実際に会って性行為をさせろとかいったものになります。金銭を要求されることも珍しくありません。子どもは下着姿の画像を拡散されたくないのでそれに応じる。

すると、さらに加害者からの脅迫がエスカレートし、泥沼にはまっていきます。

保護者や先生からすれば、こうなる前にできるだけ早くSOSを出してほしいと思うでしょう。

しかし、性的な弱みを相手に握られているとなると、子どもが大人に打ち明けるのは簡単なことではありません。事態が発覚した時には手遅れだったということも少なくないのです。

石井 光太 作家

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いしい こうた / Kouta Ishii

1977年、東京都生まれ。海外の最深部に分け入り、その体験を元に『物乞う仏陀』を上梓。斬新な視点と精密な取材、そして読み応えのある筆致でたちまち人気ノンフィクション作家に。近年はノンフィクションだけでなく、小説、児童書、写真集、漫画原作、シナリオなども発表している。主な作品に『絶対貧困』『遺体』『43回の殺意』『「鬼畜」の家』『近親殺人』『こどもホスピスの奇跡』(いずれも新潮社)『本当の貧困の話をしよう』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『教育虐待: 子供を壊す「教育熱心」な親たち』など。

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