「ああ、またか…」消えゆく小さな雑貨店。背景には「100円ショップ」や「スリコ」の台頭?100均の売り場から占う、いま《消滅の危機にある業態》とは
100円ショップが特定の業態を駆逐するというのは、決して大げさな話ではない。かつては商店街にあった、とある店が姿を消しつつある。
それは文房具店だ。私たちが文房具を買おうとして、まず向かうのは100円ショップだろう。ペンやノートなどの筆記用品だけではない。色鉛筆や絵具、画用紙などの画材もそうだ。さらには事務用品も100均がカバーしている。ファイルやバインダー、付箋にメモ帳、ブックエンドにファイル収納ケース、伝票類。そして印鑑やスタンプ台もだ。
これらが100~300円程度ですべて買える。文房具店にあって100円ショップにないアイテムは、よほど専門性が高いものか高級ブランドの万年筆くらいではないか。大都市圏でこそ、そうしたマニア仕様のブランド品を備えた老舗文房具店が生き残っているが、地方で文房具を買うとなると100均を探すことになってしまう。
売り場の一部で文房具を扱っていた書店の数が減ってしまった影響もあるだろうが、100均と張り合って安く売り続けても、商売にならないのは明らかだ。こうして文房具店は、その役割を奪われた。
東急ハンズを追い詰めた?100均パワー
クリスマスに欠かせないギフトカードやラッピングペーパー等も、かつては文具店やバラエティ雑貨ショップで扱っていたが、こちらもすっかり100円ショップの売り場に移行した。
もともとイベント商品は100均が得意とするところで、秋のハロウィン、冬のクリスマス、年が明ければお正月、そしてバレンタインと、次々にシーズンアイテムを投入してくる。プレゼントのラッピンググッズも、ギフト用ボックスも、メッセージ入りのカードやシールも、なにもかもが100円程度でそろうのだから、他の店に足が向かないのは当然だ。
かつてその店に行けば何でもそろう、と言われたのは、東急ハンズ(現ハンズ)だった。クリスマスシーズンには、それこそツリーにオーナメント、クリスマスギフト用のカードやラッピング用品、パーティグッズなど、あらゆるものを渋谷のハンズで買ったものだ。
しかし、今ではすべてが100均で買える。東急ハンズが売上低迷に苦しみ、ブランドとしての魅力も色あせていき、とうとうカインズ傘下となった背景には、100均こそが「なんでもそろう、ワクワク感を与えてくれる場所」となって、そのお株を奪ったのが一因――とは言いすぎか。
カインズの名が出たところで、ホームセンター業界に及ぼす100円ショップの影響も考えてみたい。
ホームセンターが扱うDIY用品、園芸用品、ペット用品なども、100均のコーナーにある。とはいえ、100円ショップにあるものは分量が少なく、種類も限られている。しかし、それがデメリットとも言い切れない。初心者がお試しでトライしたいと考えたときには、ホムセンではなく100円ショップに向かうであろうからだ。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら