「いつの間にか街には黒人キャッチばかり」「在留資格はどうなってる?」《歌舞伎町の黒人男性たち》その知られざる正体【現地ルポ】

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また、クラブのセキュリティ役として店舗の前に黒人が立っていることもあるが、こちらも正当な在留資格を得ている。キャッチたちに言わせれば、「できることなら俺だってあの仕事をしたい」そうだ。

歌舞伎町
黒人のキャッチは外国人観光客にも日本人にも声をかけている(筆者撮影)

「どうしようもないから歌舞伎町に行くしかない」

一方の路上に立っているキャッチたちは、在留資格が不安定なケースもある。そんな理由もあって、黒人のキャッチがたむろする通りで撮影をしようとすると、サッとその場から離れるか、「撮るな」と注意を受けることが多い。

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思いつくのは、観光ビザで来日したままキャッチをしている不法就労か、同ビザの期限が切れた後も引き続き日本にとどまるオーバーステイだが、どんなケースがあるのか。

イブラヒムが話す。

「昔はほぼフリーだったけど、かなり厳しくなってきているからね。でも、不法就労やオーバーステイの黒人もゼロではない。だから、仮放免中(出入国管理庁の収容施設に収容されている人が、健康上の理由などから一時的に身柄の拘束を解かれた状態)の黒人が歌舞伎町にいることだってある。難民申請中の期間を使ってキャッチをしている黒人もいる。

でも、難民申請中なのか、仮放免なのか、特定活動なのか(就労可能な場合もある)、そんなことお互いに言わないし聞かないよ。信頼関係があってお互いに助け合っている仲なら知っているだろうけど、これは俺たちにとっては本当のシークレット情報だから。

仮放免では仕事もできない、銀行口座もつくれない、クレジットカードもつくれない。どうしようもないから歌舞伎町に行くしかないでしょ」

23年の入管法改正により、原則として難民申請中は強制送還が停止されていたが、24年6月施行の改正後、3回目以降の申請者については「相当の理由」がなければ送還が停止されない例外規定が導入された。これにより、母国へ帰らざるをえない歌舞伎町の黒人も出てくることだろう。

歌舞伎町の様相も大きく変わるかもしれない。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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