老後の蓄えを狙う「オレオレ詐欺」45歳首謀者がタワマンの隠れ家で"何者か"に襲われ卒倒、逮捕 『子供部屋同盟』2章③

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芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。
パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。
芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第2章を4日に分けて毎日お届けします(今回は3日目)。

詐欺集団のアジト「サンライズタワー」に潜入

サンライズタワーのエントランス付近で張り込みを開始して、すでに三時間が過ぎていた。日は暮れ始め、あたりは夕闇に包まれつつある。

子供部屋同盟
『子供部屋同盟』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ポケットの中のカイロを揉みながら思う。やはりそうそう、うまくはいかないものだろうか──。諦めかけたそのとき、エレベーターから一人の男が降りてきた。

坊主頭で人相の悪い体格のいい男──、詐欺集団の首謀者だ。また受け子と接触するのだろうか。健人は一定の距離を保ちつつ、男を尾行した。

男は近くのコンビニへと入った。健人は店外から、ガラスの向こうに見える男の姿を目で追う。男は雑誌コーナーに立ち寄り、ドリンクコーナーに立ち寄り、レジで煙草とコーヒーを買った。コンビニを出ると、レジ袋を片手に、再びマンションへ戻っていく。キセルをする絶好のチャンスだった。

健人は男と数メートルの距離にまで近づく。坊主頭が外灯の明かりに照り輝いている。俺はかつて二十回はキセルをやっただろうが、バレたことは一度もない。同じことをやるんだ。

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