研究では、Women’s Health Studyという大規模なデータを用いました。このデータの中で、心臓病の既往のない高齢女性1万3547名を対象に、1週間アクチグラフというウェアラブルデバイスをつけてもらい、運動時間や歩数を測定しました。その後彼女らを11年追跡し、死亡や心臓病の発症を検証しました。
このデータを使い、「歩数の目標値を1週間のうち何日達成したか」が死亡や心臓病発症とどれくらい関連性があったのかを調べました。歩数の目標値は、1日4000、5000、6000、7000歩という4パターンを検証しました。年齢や併存疾患などを調整した統計モデルを使いました。
4000歩を週1~2日でも大きな健康効果
すると、面白い結果が大きく2つ得られました。
1つ目は、1日も4000歩を達成しない人と比較し、1~2日でも4000歩を達成した人は、死亡リスクが26%、心臓病リスクが27%も低かったのです。つまり、ほとんど歩かない方と比べ、少しでも歩く習慣があると、病気のリスクはかなり減ることが期待される、ということが示されました。
2つ目は、平均歩数で調整したとき、その関連性は完全になくなったことです。これはどういうことかというと、健康を考える上では、「1週間のなかでどのように歩くか」というパターンよりも、結局平均歩数のほうが重要であることを示しています。
少しでも歩くこと、そして目標は平均歩数であること。高齢の方を対象とした場合、運動と健康を考える上でこのような知見は重要です。特に車社会で歩く頻度が少ない方は、1週間に数日でも少しでも歩く習慣をつけることで、大きな健康効果が期待されます。



















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