「自分でやったほうが早い」「いい結果を出せると思えない」…"部下に仕事を任せない"上司がしがちな"言い訳"とその裏側にある心理

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その結果、そのメンバーは以前の半分以下の時間で質の高い資料を作成できるようになり、自信を持って企画提案に臨めるようになりました。さらに、その企画が通ったことで、プロジェクト全体が一気に加速し、予想以上にチームの成果につながったと言います。

できるリーダーの任せ方

「任せるより、自分でやってしまったほうが早い」

「自分がやる以上の結果を、メンバーが出せると思えない」

どうしてもこのように考えてしまう人もいるでしょう。今はまだ、そんな「自己完結型」のやり方で、何とかなるかもしれません。

しかし、仕事が増えてきたり、チームの人数が増えて規模が大きくなってきたりすると、とても1人では抱え込めなくなる「限界点」が必ず訪れます。そうなってから「そろそろ任せよう」と思っても、もう遅い。

なぜなら、「任せられる人」が育っていないからです

あなたが仕事を大量に抱え込んで忙しそうにしている間、メンバーはその仕事による技術習得の機会を奪われ続けていました。「任せられる人がいない」のはメンバーのせいではなく、メンバーへの初期投資を怠り、成長機会を奪った「リーダーの自業自得」なのです。

また仕事を抱え込んでいる限り、あなた自身が新しいことにチャレンジする時間も機会も失われ、リーダーとしての成長停滞も招きかねません。結果として、チーム全体が硬直してしまうことにもなります。

「忙しくなったら任せる」のではなく、「忙しくなる前から任せる」。これを忘れないでください。

それでも誰かに任せることを躊躇してしまうリーダーの心の中には、こんな本音が隠れているのかもしれません。

「メンバーの失敗で、自分の評価を落としたくない」

「自分が責任をとるのだから、簡単に任せられない」

いわゆる「保身」ですね。

実際、私自身も仕事を上手に任せることができなかった当時、こうした気持ちが心に渦巻いていました。だからこそ、当時の私はメンバーの気持ちなどは一切お構いなしで、厳しく細かな指示を出し続けました。手順書やチェックシートで「ルールでがんじがらめ」にしていたのです。

それらはミスを出さないための、完璧な防衛策のはずでした。

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