「自分でやったほうが早い」「いい結果を出せると思えない」…"部下に仕事を任せない"上司がしがちな"言い訳"とその裏側にある心理
あなたが新入社員だった頃、あるいはまったく経験のない分野の仕事を任されたとき、最初から完璧に、誰の助けも借りずに成果を出せたでしょうか?
そんなことは、決してありませんよね。誰もが先輩やリーダーから教わりながら、助け舟を出してもらっていたはずです。一人前に仕事がこなせるまで、サポートを受けて育てられた経験があるはずです。
そして、あなたのメンバーも、当然ながら成長の途中。だから、今あなたが期待するほどの成果を出せていなかったとしても、それは当たり前のこと。
「任せられる人」とは、最初から完璧な「適材」としてチームに存在するわけではありません。リーダーが育てるからこそ、「適材」となるのです。「適任者を探す」という思考は、捨ててください。
「初期投資」に徹する
もしも、あなたが来年からパン屋を始めようと思ったら、最初に何をしますか?
店舗の契約はもちろんですが、店舗の規模によっては、数名の店員を雇う「人への投資」も必要です。また、パンを焼くためのオーブンや食材を保存する冷蔵庫など「設備への投資」も欠かせません。
実際にどれだけ繁盛できるかは、やってみなければわかりません。しかし、お金をかけて「準備」をしなければ、そもそもお店を始めることすらできないのです。
組織やチームも、まったく同じです。仕事を任せるためには、まずは「任せられる人」を準備する必要があります。
とはいえ、それは「任せられる人」を外部から探してきたり、呼んできたりする、という意味ではありません。リーダーがするべきは、メンバーへの「初期投資」です。
時間をかけて仕事を教えたり、相談に乗ったり、うまくいかないときはフォローをしたりと、手間暇かけてメンバーを「任せられる人」に育てていかなければならないのです。
私の知り合いのリーダーの例を紹介しましょう。
彼のチームには、企画力は高いものの、資料作成に時間がかかりすぎるメンバーがいました。
そこで彼は、通常業務の合間を縫い、そのメンバーに自身の資料作成のノウハウを毎週30分ずつ、約2か月間かけて徹底的に教え込んだそうです。これは、リーダーにとっては決して小さくない「時間」という名の資源の投資です。



















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