「ホストクラブに通うために」路上に立つ少女の姿もーー。「低年齢化」が進む東京・歌舞伎町ルポ

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今年6月には、悪質ホストクラブ対策として恋愛感情に乗じた女性客への営業や、支払いのための売春要求を規制した改正風俗営業法が施行された。

歌舞伎町でも路上売春の取り締まり強化が進むが、今も後を絶たないのが現状だ。清水さんによると、明らかに未成年の女の子が路上で客引きをしているという。

位置情報アプリで常に居場所を把握される女性たち

売春をする理由が、「ホストクラブに通うため」という女性は多い。彼女たちは位置情報を共有できるアプリで、常に居場所を把握されている。

好きなホストからGPSを持たされると、「彼氏彼女」の関係になれるので嬉しいと感じているようだが、身を粉にして働いたお金を搾取されるだけだ。

清水さんは、「買春側を取り締まる法律が必要」と訴える。

「売春をしている女性だけが摘発され、名前までマスコミに晒されることがあります。だけど、買う側、つまり男性を取り締まる法律が必要。さらに、女性を路上に立たせて搾取するホストクラブの構造的問題にも取り組むべきです」

同法人は相談活動がメインだが、トイレを貸したり、スマホの充電サービスを行ったり。毎週土曜日には「若者食堂」も開く。そのため歌舞伎町に来て困った若者たちが、ふらりと立ち寄る。

冒頭で紹介した春儚さんもそんな一人だった。

昨年11月、パパ活をしていた時に「ご飯が食べられる」と聞いて、事務所を訪れた。

清水さんと、ホストの話などたわいのない話をするのが楽しかった。

やがて、ボランティアが行っていた資料の紙を切る作業を手伝うようになり、さらに法人のホームページの編集作業も手伝うようになり、今ではほぼ毎日のように事務所に顔を出す。

清水さんが配信しているYouTube番組がつまらないので、「もっと面白くしたい」と笑う。

「学びながらやってます」(春儚さん)

スタッフに動画編集を一から学んでいる。そうした中、目標もできた。フリーランスの動画編集者になることだという。

「やってるだけじゃつまんなくて。お金にできたらと思って」(同)

先の清水さんは、春儚さんのように「将来の夢なんてどうでもいい」と思っている若者たちに、駆け込み寺を通じ何らかのきっかけができ、やりたいことが見つかってほしいと話す。

「そういうきっかけの種をまくことが、私たちの使命でもあります」

歌舞伎町に集まる若者たちに必要なのは、裁きではなく、手を差し伸べてくれる場所。そして、明日への小さな希望だ。

(AERA編集部・野村昌二)

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