「実はのり弁の元祖」「"ほか弁"は店名の略称」なのに…。《若者に認知が薄い》老舗「ほっかほっか亭」が本気で挑むZ世代獲得4つの戦略

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「ミライの海苔弁」
大阪・関西万博のために開発された「ミライの海苔弁」500円(写真提供:ほっかほっか亭総本部)
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食・中食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載「外食ビジネスのハテナ特捜最前線」。今回は「ほっかほっか亭」を取り上げる。
ブランド高齢化による若者離れという課題を抱える同社。加えて、2025年3月期決算では米の高騰を受け、ほっかほっか亭を含む中食事業の営業赤字が約7000万円と発表されている。危機に瀕した老舗が、Z世代1800万人の胃袋をつかむべく2024年から挑む「4つの常識破りな挑戦」とは。その全貌に迫る。
【あわせて読む:後編】「賞味期限は2時間」、ほっかほっか亭が守り抜く「できたて」の絶対的価値。米高騰で赤字になっても貫いた「おいしいごはん」のこだわりとは?

老舗が直面した「ブランドの高齢化」危機

ブランドは老化する。これはどの業界にも共通する課題だ。顧客の年齢が上がり、若年層に届かなくなれば、どれほどの老舗でも衰退は避けられない。

昨今、「Z世代」との関わり方に頭を悩ませていないだろうか。Z世代とは、1990年代半ば~2000年代初頭に生まれた若者を指す。デジタルネイティブで、「SNSを駆使して情報収集と発信を行い、ゆるく人とつながる」「コスパ、タイパを重視」「自分らしさを尊重する」などの特徴を持つとされる。

それ以前の世代とのギャップは大きいが、彼らがこれからの経済を担うことは間違いない。

このZ世代を獲得するための改革を推進している老舗が、西日本を中心に700店舗を展開する持ち帰り弁当チェーン「ほっかほっか亭」だ。来年50周年を迎える同社は、「米より小麦粉」「主食がフルーツ」「弁当に関心が乏しい」といった食傾向を持つZ世代にも親しまれるよう、「これまでの常識を捨てて」挑んでいる。

ほっかほっか亭蛍池駅前店
阪急・大阪モノレール蛍池駅前にある『ほっかほっか亭蛍池駅前店』(筆者撮影)

「若者の弊社への認知度は低いですね。『ほか弁』という言葉は知っているけれど、それが『ほっかほっか亭』という弁当屋の略語だという認知度はかなり低い。『あったかいお弁当』そのものや『弁当屋の総称』だと思っている人も多いんです」

株式会社ほっかほっか亭総本部 常務取締役 商品企画統括本部 本部長の飯沼俊彦さんは、近年の顧客調査の結果を残念そうに説明する。おもな原因は、1976年の創業から共に歩む顧客層が歳をとっていることだ。

【写真】昔と今の「のり弁」の違いがわかる写真など(19枚)
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