「実はのり弁の元祖」「"ほか弁"は店名の略称」なのに…。《若者に認知が薄い》老舗「ほっかほっか亭」が本気で挑むZ世代獲得4つの戦略

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Xの投稿
創業時のフォント制作者探しを呼びかけバズったXの投稿(写真提供:ほっかほっか亭総本部)

10月中旬の取材時点で1000件以上の情報が寄せられていた。多くのメディアにも取り上げられ、人気テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』にも「宝くじに当たるより難しい」と言われる選考をくぐり抜け、見事出演が決まっている。

「若い世代を含めて、SNS利用者が広告的なものが好きでないことは明らかです。そのため、SNSはKPI(目標達成を測るための指標)を売り上げには置いていません。

フォントの件もそうですが、本来は隠したい開発途中の商品情報などもオープンにすることで、ブランドを風通し良く好意的に見ていただける人を獲得していきたい」(飯沼さん)

前述の通り、飯沼さんの前職は北海道日本ハムファイターズだ。プロ野球であれば、選手、チームのファンになってもらうことが売り上げにつながる。

「じゃあほっかほっか亭のファンってなんなんだろう?」という疑問から、「お弁当そのもののファンは難しい。ならば、『ほっかほっか亭総本部』『ほっかほっか亭』というブランドのファンになってもらいたい」という考えに行き着いたのだという。

「来年で50周年ですが、次の50年に向けて、 10代、20代の方にも知ってもらい、愛してもらえる種まきをしているところです」(飯沼さん)

加えて、出店戦略にもデジタル戦略がなされている。売り上げを予測するAIを使い、来店予測人数が一定基準を越える場所に出店を決めている。

これまでは専任担当者の経験と勘に頼っていたが、AIにすることで成功率が上がったそうだ。既存店に関しても、AIの予測値より来店人数が低い場合、オペレーションの見直しを図っている。

飯沼俊彦さん
株式会社ほっかほっか亭総本部 常務取締役 商品企画統括本部 本部長の飯沼俊彦さん(写真提供:ほっかほっか亭総本部)

成功の反対は失敗ではなく何もしないこと

万博での新しい弁当提案、ゼロからつくるカスタマイズ弁当、人気YouTuberとのコラボ、攻めのデジタル戦略――Z世代獲得に向けてさまざまな挑戦を続けるほっかほっか亭。

その背中を強く押しているのは、親会社ハークスレイの社長を兼任する青木社長だ。ほっかほっか亭総本部は2021年5月、ハークスレイから分社している。その狙いは、「よりスピード感のある経営体制の樹立」と「グループ企業同士が強みを持って関わり合うことで、より強固になること」だったという。

「実際、ほっかほっか亭の運営に関することはすべてほっかほっか亭総本部で決められるようになり、世の流れに合わせた施策がスピーディに打てるようになりました」(飯沼さん)

大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンのほっかほっか亭ブース
大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンのほっかほっか亭ブース(写真提供:ほっかほっか亭総本部)
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