「実はのり弁の元祖」「"ほか弁"は店名の略称」なのに…。《若者に認知が薄い》老舗「ほっかほっか亭」が本気で挑むZ世代獲得4つの戦略

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親会社のハークスレイは近年、食に関するサプライチェーン全体、つまり原材料生産・加工から食品製造・加工、そして食品の卸・販売に至るまで、全てを担える体制の構築を目指してM&Aを進めている。

2022年には、落花生やナッツ類、豆菓子やドライフルーツの製造販売を行う稲葉ピーナツを、2024年12月には国内チルド焼売シェア1位のホソヤコーポレーションを傘下に。今後も、「グループ全体の価値創造に寄与するか」を判断基準にM&Aを検討していくという。

外食ビジネスのハテナ特捜最前線
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スタートアップのような機運が満ちている

サウナ飯
Z世代社員によるZ世代のためのプロジェクトチーム「ZorZ(ゾアーズ)」により、「サウナ飯」が企画されたことも(写真提供:ほっかほっか亭総本部)

ほっかほっか亭は行動指針として、「成功の反対は失敗ではなく何もしないこと」を掲げている。しかし49年の歳月を経て、チャレンジを恐れ、安定を望む風潮も生まれてきた。

だからこそ飯沼さんをはじめとする転職メンバーが率先して挑戦し、「結果よりも、失敗しても大丈夫という心理的な安全性が示せるよう」あまたの挑戦を続けている。100点を狙うのではなく、60点でもいいから、とにかくスピードを持って世に出すことも意識している。

「良くも悪くもこれまでは尖らず、毎年同じ時期、同じ商品を出すような守りの姿勢がありました。

でもこれからは、とにかく挑戦。『成功の反対は何もしないこと』をスローガンに、プロパー、中途入社、役職に関係なくアイデアが活発に出る風通しのよい風土が徐々に醸成できています」(飯沼さん)

この言葉どおり、改革の風吹くほっかほっか亭には、50周年目前の老舗でありながら、スタートアップのような機運が満ち満ちている。

Z世代獲得の課題は、多くの企業にとって“対岸の火事”ではない。その打ち手の一つとして、ほっかほっか亭の挑戦から学ぶ点は多い。

後編では、中食市場の競争が激化し、米の高騰が進む中でもほっかほっか亭が貫く「できたて」「手頃でおなかいっぱい」の価値を追う。

海老好きのための天丼
カスタマイズ弁当では、ホームページで社員がオススメする組み合わせも掲載。こちらは、「海老好きのための天丼」として提案された揚げ物祭り弁当(写真提供:ほっかほっか亭総本部)
【後編】「賞味期限は2時間」、ほっかほっか亭が守り抜く「できたて」の絶対的価値。米高騰で赤字になっても貫いた「おいしいごはん」のこだわりとは?
笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界誌で17年執筆を続けており、企業と経営者の取材経験多数。「プレジデント・オンライン」「ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン」「月刊ホテレス」「FQ Kids」などで執筆。企業noteのライター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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