「寂しさはまったくない」82歳《最後の村人》が"理想郷"で1人暮らしするワケ…文豪・武者小路実篤がつくった村で送る「孤独でも豊かな生活」

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新しき村での生活について話す松田省吾さん(2025年5月/宮崎県木城町/弁護士ドットコム撮影)
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かつて文豪が理想郷をつくろうとした村が、九州の山奥にある。

金や暴力にまみれた世間から離れ、「自他共生」の世界を追い求めようとした"村人"は、いまや実質的に一人を残すのみだ。

その人物はどんな生活を送り、現代社会をどう見ているのか──。長年気になっていたその村を訪ねるため、宮崎の山の中へと向かった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

「ついて来る?」山中の水源まで同行することに

「安定した仕事には絶対につかない。おもしろくなきゃダメ。自分のやりたいことをできる自由が大事なの」

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

宮崎県木城町(きじょうちょう)にある「新しき村」の住人、松田省吾さん(82)は、田んぼに水を引く溝を整えながら話す。

山に囲まれた広大な土地には田畑が広がり、自ら建てた家や小屋が並ぶ。近くでは放牧された豚が泥まみれになって動き回っていた。

「今日はちょっと水源を見に行こうと思ってるけど、ついて来る?」

田んぼや生活に必要な自家用水を山から引いており、40年前につくった取水ダムの様子を定期的に確認しているという。松田さんはスコップを片手に、標識もない山道へと入っていった。

自家用水を引いている取水ダムの様子を確認しに行くため、山中の道なき道を進んでいく松田省吾さん(2025年5月2日、宮崎県木城町で、弁護士ドットコムニュース撮影)
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