「周囲がなんと言おうと、親を許す必要はない」過激な毒親の「呪いの首輪」に苦しみ続けた作家が、ひとつの"出会い"と試行錯誤の末に見つけた答え
アルテイシアさんも周りから「親も大変だったんじゃない?」「愛情はあったと思うよ」「ちゃんと話し合ったら?」と言われるたびに傷ついてきた。たとえ善意の言葉であっても「違う! そうじゃない」と心のなかで全力で否定してきた。それまでに何度も親に歩み寄っては裏切られ、絶望を味わってきたからだ。
自分がいじめの被害者だったとしたら「加害者を許してあげなよ」とは絶対に言わないだろう。毒親とその子どもの関係も同じで、親子といえど“加害者”と“被害者”なのだ。
もしかしたら本当に、親には大変な事情があったのかもしれない。しかし「親の問題と自分の被害は分けて考えるべき。『自分が傷ついたことは事実で、それについては許せない』 と子どもは思っていいんです」とアルテイシアさんは主張する。さらに、こうも言う。
「仲良くしたいと思っても、どうしたってそうできない親もいるから苦しいわけです。その葛藤に悩む方は、親のことを『元カレ』だと考えればいいと思いますよ。たとえ悪い人じゃなかったとしても、いっときは自分のことを愛して大事にしてくれた人だったとしても、所詮は元カレなのだから、“もう自分の人生には関係ない人”ぐらいの立ち位置で考えればいい」
日本人は親や家族の絆を神聖化しすぎている、とも付け加えた。これは日本人の生活に深く根を下ろしている儒教の教えが影響している部分もあるのだろう。
毒親について相談されたら、どうすればいい?
では、逆に毒親について誰かから相談されたときには、どうしたらいいのだろうか。その答えはズバリ「余計なことは言わないのが一番」だ。
「なにか役に立に立つアドバイスをしようとか思わなくていいので、否定せずに聞いてあげてください。毒親育ちは『ひどいね』とか『つらかったね』とか、シンプルに『親ヤバイね』とか言ってもらえるだけでうれしいんです。身の上を話したことで腫れ物扱いもされたくないから、普通に聞いて、今まで通り接してあげてほしいですね」
毒親からは逃げるのが一番だが、どうしても逃げられない場合もある。毒親育ちは「親に会いたくなくても、会わないと大変なことになる」と身をもって知っているからだ。アルテイシアさんも母の鬼電を無視していたら、職場に押しかけられた経験がある。だからこそ「『会わなきゃいいのに』と、他人が気安く言うのは避けたほうがいいと思います」と力を込める。



















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