仏教に学ぶ「家族との距離感」を整理する心得3つ 年齢を重ねれば当然、関係性も変わってくる
「心おだやかでいたいと願う人を導く仏教において、執着は、それを邪魔する(乱す) 煩悩として扱われます」。そう語る元結不動密蔵院住職の名取芳彦氏は、同時にまた「老年を迎える頃になると、かつては大切にしていたものの中にも、もう必要のないものが出てきます」とも指摘します。
そんな名取氏が仏教の視点から説く、年齢とともに変わってくる「近しい人との距離」の取り方とは。
※本稿は、名取氏の著書『60歳を過ぎたら面倒ごとの9割は手放す 我慢してばかりの人生から自由になる54の教え』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
お互いを認め合う独立国家のような関係に
夫は外で働いて生活費を稼ぎ、妻は家庭をしっかり守る良妻賢母。そんな夫婦のイメージは、今は昔の話です。
経済も家事も対等だったり、婚姻という法律に縛られないパートナーのような関係だったりする若い世代の夫婦関係を見て、「これまでの自分たちとは違う夫婦の形もありかもしれない」と思うことがあるでしょう。
とはいえ、私は、何十年も連れそった夫婦に、まったく別の、新しい夫婦の形を提案するつもりはありません。今までの夫婦の関係を、少しだけ変化させてみてはどうかと思うのです。
その土台になるのは、"自分だけ働いてきた""自分だけ家事をしてきた"という自己犠牲の思いを捨て、"あなたのおかげで働けた""家事に専念できた"という感謝の心で過ごすこと。これがないと、犬も食わないケンカがはじまります。
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