「専門性が退化した上司」に部下はついていかない 生き残るのは「マネジメントができる専門家」

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もし、これまでの専門とは異なる分野に管理職として異動した場合は、新たな専門性を高めるチャンスだと考えるとよいでしょう。さすがに、部下と同じレベルで実務を行うことは現実的ではありませんが、最低限、次のようなレベルは目指すべきです。

・実務を必死に学び、部下と専門的な会話ができる。
・部下の意見を聞きながら、自分の判断基準で専門的な意思決定ができる。
・対外的な会議や交渉場面で、チームを代表して専門的な話ができる。
・直接実務はできなくても、本質を理解した上で問題解決が図れる。
・専門性を理解した上で、成果へ向けてのアイデアを出せる。

実務ができるからリーダーシップを発揮できる

反対に、なってはいけないのは次の状態です。

・実務を深く理解せずに、専門的なことは部下に任せっきりにする。
・部下の意見に流されたり、根拠のない部下への信頼で意思決定する。あるいは、意思決定できない。
・対外的な会議や交渉場面で、挨拶だけして専門的な話はすべて部下に任せる。
・部下があげる課題や問題がすべてだと考え、狭い範囲で解決を図ろうとする。
・専門性を理解しないままピント外れの指示を出して部下を振り回す。

管理職という立場にあるから、部下がついてくるリーダーシップを発揮できるのではありません。人としての高い人間性があり、専門家としての実務能力があるから部下がついてくるのです。

プレイングマネジャーとしての中間管理職は、実務能力と権限という2つをあわせ持っています。「わかっている人が判断してくれる」ことで部下の信頼を得やすい立場にあるのです。

実務とマネジメントの両立は挑戦的ではありますが、それぞれで生産性の高い仕事をすることで、「マネジメントができる専門家」という最強の人材価値を手に入れることができます。それは、変わりゆく時代において、キャリアの選択肢を広げることを意味します。

櫻田 毅 アークス&コーチング代表

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さくらだ・たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。著著に『管理職1年目の教科書』『新 管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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