「専門性が退化した上司」に部下はついていかない 生き残るのは「マネジメントができる専門家」

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いまの時代の管理職として目指すべき姿は、実務とマネジメントの両立を図り、専門性を維持・向上し続けている「マネジメントができる専門家」です。

ジョブ型雇用と能力・実績主義の長い歴史を持つ米国企業の世界では、マネジャー(課長クラス)からマネジング・ディレクター(執行役員クラス)にいたるまで、管理職は原則としてプレイングマネジャーです。私自身、勤めていた米国企業でコンサルティング部門を統括する役員ではありましたが、同時に1人のコンサルタントとして顧客企業を担当していました(さすがに、顧客数は他のコンサルタントの半分でしたが)。

調査担当役員はチームの誰よりも高い調査能力を発揮して質の高いレポートを出していましたし、法務担当役員も日米の弁護士資格を持った法律の専門家として、会社を代表して自ら契約交渉に臨んでいました。

専門性の高さがマネジメントの質を高める

彼らが実務とマネジメントの両立を図ろうとするのには、2つの理由があります。

1つ目は、専門性を維持、向上させることがマネジメントの質を高めるからです。専門性があるから、難易度の高いことにも適切な判断を下せます。専門性があるから、チームの責任者として自ら対外交渉を担うことができます。専門性があるから仕事や部下の課題を指摘でき、改善へのリーダーシップを発揮できるのです。

「どのような上司についていきたいか?」という問いに対しては、日米を問わずに、まず、「人として尊敬できる人」などの人間性に関する答えが返ってきます。ただ、それと並んで、「明確なビジョンを示せる人、的確な判断ができる人、危機対応能力の高い人」――すなわち、「仕事ができる人」という回答も多数あげられます。

仕事ができる重要な要素はその分野の専門性の高さです。将来が不透明な時代だからこそ、自分の専門性を高めたいと考える部下たちは、専門性の高い上司についていこうとするのです。

一方、日本の現場からは、「専門的なことがわからない上司をどう扱えばよいのか」という声がいくつも聞こえてきます。専門性が細分化、複雑化していく中で、専門性に乏しい上司への報告や相談に苦心している。そのような上司の判断には疑心暗鬼になってしまうとのことです。これでは、「ついていきたい上司」として認めてもらえず、管理職としてのリーダーシップを発揮することが困難になります。

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