「竹内涼真がハマりすぎてる」「SNSが沸いた」 豊作揃いの秋ドラマの中で《じゃあ、あんたが作ってみろよ》が、"今期最高"と評判のワケ
このドラマが第1話で絶賛された理由の1つは、そんな令和のいま最も改めてほしいタイプの勝男が、あっという間に転向したことだろう。鮎美に去られた後、好物の筑前煮を自分で作ってみて、美味しい筑前煮を作ることがいかに難しいか痛感する。
完璧主義のモラハラ男性が物語開始早々、打ちのめされ、反省する。そのきっかけが筑前煮の奥深さだった。料理の作り方を視聴者も見ながら学べるのもポイントが高い。第5話の天ぷらを揚げるときに油がはねない秘訣なども役に立つ。
さらにいいのは、鮎美との関係だけでなく、部下との関係の修復も描いていることだ。
職場の男性社員・白崎(前原瑞樹)は恋人がいるが、自分が料理を好きなのでお弁当はいつも自分で作っている。めんつゆを使って肉じゃがを作ったが、勝男はそれを邪道と軽視する。めんつゆが何でできているかも知らないで、なぜ軽視するのかと白崎は気分を害する。
しかし勝男は、めんつゆを自分で作ってみて、白崎の気持ちに寄り添い、関係を修復する。男2人が公園で並んで弁当を食べることを考えもしなかった勝男が、それをやってみて、心が清々しくなる場面が、第1話の白眉だった。
そして白崎もまた、勝男のことを勝手にいけすかない人物だと決めつけて見ていたと反省する。
「決めつけ」をほどいていく物語
誰もが自分の決めつけ(偏見)に縛られている中で、『じゃあつく』は恋と料理にとどまらず、誰もの心の中にある決めつけをほどいていく物語でもある。いやむしろ、恋と料理だけでなく、そのプラスアルファがあるからこそ、令和に支持されるのだろう。
勝男は単に真面目な完璧主義であり、悪い人では決してない。誰かを悪く描くことなく、完璧主義者は自分にも他人にも厳しいという観点に立ったうえで、他者を許すことを学ぶ物語になっている。
第2話では、鮎美の視点に切り替わる。彼女は幸せな結婚をするために完璧な女性像を演じ続けていた。勝男が求める理想の女性でいれば、幸せが待っていると考えていたが、勝男に合わせることにほとほと疲れ、プロポーズを断ってしまう。
ところが、新たに付き合ったミナトにもまた言いたいことを抑え、都合のいい彼女になっていくことに気づく。


















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