じわじわ話題「異色グルメドラマ」が心揺さぶる訳 仲村トオル主演の「飯を喰らひて華と告ぐ」
夏ドラマが終盤に差し掛かっている。今期は飛び抜けた注目作がなく、オリンピックに話題を奪われてきたなか(過去記事:話題作なく総崩れ?「夏ドラマ」評価分かれる背景)、SNSなどの口コミでじわじわと関心を集めているドラマがある。
すでに飽和気味のグルメドラマのなかで、これまでとは異なる新しい“味”を出している『飯を喰らひて華と告ぐ』(TOKYO MX)だ。
ドラマのアウトラインを見ると『深夜食堂』シリーズの世界観に近いのかと思いきや、ストーリーも登場人物のキャラクター性もまったく異なる。
また、グルメドラマの頂点に君臨する『孤独のグルメ』シリーズとは、料理シーンを除くと対極に位置するようなエンターテインメント性の高さが特徴になっている。
『飯を喰らひて華と告ぐ』は、味が濃すぎる昭和的なクセ強キャラの店主(仲村トオル)が、悩める市井の人々の心を救う、喜劇と悲劇のヒューマンドラマの要素を混ぜ合わせて凝縮させた“飯ドラマ”になっているのだ。
都会人の悩みを見抜く料理人
物語の舞台は、東京の街外れの路地裏にひっそりとたたずむ、どこにでもある中華料理店のような店構えの料理屋「一香軒」。強面のすご腕料理人の店主が、客が食べたいものを何でも提供するこの店には、大都会・東京に生きるさまざまな人が訪れる。
店主は路地裏に迷い込んだ人に声をかけて店内に誘うと、その慧眼で彼らの悩みを見抜き、それぞれの客のための料理を出す。
客は、古ぼけた店の頑固そうな店主が作る、素朴な料理の研ぎ澄まされた味に驚く。そして、親身に話しかけてくる店主の言葉に耳を傾けるうちに、心を揺さぶられる。
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