「また強豪校か…」「広陵高校と同じ末路になる」仙台育英サッカー部の《いじめ重大事態》大炎上していなくても"事態は深刻"なワケ

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ネット上では「加害者が誹謗中傷を受けるのは当然のこと」という意見も目立つが、ルールに基づいて適正な対処がされるべきだ。高校生といえども未成年だ。彼らに対して私刑が行われることは、決して好ましいことではない。

一方、高校側には被害者、加害者を含めて、当事者のプライバシーを守る責任があるのと同時に、説明責任を果たすことも求められる。情報を開示すると二次被害が起きかねないし、開示しなければ「隠蔽している」という批判を受ける――というジレンマに陥る。

類似の問題は今後も起こり続けるに違いないが、これまで述べてきたようなことを考え合わせると、解決が難しい難問なのだ。

出場辞退しても問題は終わらない

広陵高校で起きたことを考えると、仙台育英がこのまま全国大会に出場すると、出場選手が誹謗中傷にあったり、個人情報がさらされたりすること、学校側も攻撃を受けたりすることが予想される。

辞退したらしたで、「無関係の選手まで巻き込まれるのはかわいそうだ」という批判が出てくるだろう。

今回の仙台育英の問題と同時に、大阪大会で優勝した興国高校のサッカー部員が決勝戦翌日に飲酒をして、部活動が無期限停止になっている。こちらに関しても、全国大会への出場の是非が議論になっている。

根本的な解決策を見いだすことは難しいのだが、こうした問題が複数発覚している以上は、部活動の継続、および大会出場の基準をこれまで以上に明確にしておく必要があるだろう。

「連帯責任」に関しても見直しが必要だ。チームプレイである以上、必ずしも「問題を起こした部員だけ出場停止にすればよい」ということで解決できるものではないのだが、無関係な生徒まで影響を受けることは避けなければならない。

「問題を起こさない」ということが最も重要なのだが、未成年者が集って団体行動を行う場で、トラブルをゼロにすることは現実的には不可能だ。「トラブルは起こるもの」と考えて対策を講じる必要がある。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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