受験は「代謝」の戦いだった。受験生の心と体が安定し、最後まで集中力を保てる方法。血糖が安定すれば、自律神経が整い、思考までクリアになる

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血糖が安定すると呼吸が深くなり、思考も落ち着く。胃腸が動き、脳のリズムも整う。まるで“エンジンが一定の回転数で回っている”ような安定感が生まれるのだ。血糖コントロールは、勉強効率だけでなく、心の安定にもつながる“最強の戦略”なのだ。

模試や受験当日の『勝つための食事』

この血糖コントロールは「模試」や「受験当日」にも威力を発揮する。試験中は頭脳労働に加え、緊張やストレスでもエネルギーを消耗するため、低血糖になりスタミナが切れやすい。

マラソン選手が極度のエネルギー切れで動けなくなる「ハンガーノック」という現象があるが、受験中も似た状態になることがある。エネルギーが切れれば、脳が働かず思考が止まる。これを防ぐには、計画的な補食が欠かせない

昼食のお弁当とは別に、一口サイズのおにぎりを数個用意し、試験科目の合間などに少しずつ食べるのがコツだ。緊張で食が細くなる子は、唐揚げなどの重いおかずより、軽く食べられる炭水化物中心でよい。その日だけは「バランス」より「エネルギーの持続」を優先する。

緊張で食事が喉を通らない場合は、スープジャーに温かいポタージュを入れる。液体で糖質をとれるので、体も心も落ち着く。果物を小さくカットして持たせるのもよい。どうしても何も食べられないときは、ハチミツをひとなめ。それも難しいときは、カフェインの入っていないタイプのエネルギー補給用のゼリー飲料を少しずつ口に含むだけでも違う。重要なのは「糖を切らさないこと」だ。

受験はメンタルの戦いのように見えて、実は“代謝の戦い”でもある。

血糖コントロールができる子は、体も心も安定し、最後まで集中力を保てる。血糖が安定すれば、自律神経が整い、自律神経が整えば思考が澄む。このシンプルな生理学を味方につけて、親子で受験を乗り切ってほしい。

小池 雅美 医師、こいけ診療所院長、なす医院非常勤医師、臨床分子栄養医学研究会特別認定指導医、漢方専門医

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こいけ まさみ / Masami Koike

漢方・栄養療法のみならず、各種統合医療を通じて培ってきた豊富な経験と顔貌、姿勢などから患者の栄養状態を言い当てる優れた洞察力で、多くの患者を改善に導く。体を見るということは、何らかの症状のある場所や検査のデータを見ることだけではなく、食事、笑い声、人間関係、仕事のやり方、そうした生活のすべてが含まれると考え、その延長として、漢方や栄養の勉強を始めて現在に至る。『気分の9割は血糖値』(東洋経済新報社)が初の著書となる。趣味はさかな釣り。

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