受験勉強は脳の持久戦。栄養が足りない子どもは受験に勝てない。では何を食べればいいか?

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つまり血糖が安定した状態であること=「血糖コントロール」こそが受験における要諦となる。

この「血糖コントロール」のカギを握るのは、実は筋肉だ。筋肉は糖をグリコーゲンとして蓄える“血糖のタンク”であり、特に太ももの筋肉はその主力だ。

筋肉が減ると、糖を貯める力が落ち、血糖が乱れやすくなる。長時間座っている受験生ほど、この筋肉が衰えやすい。たんぱく質をしっかり取るとともに、1日数分でもスクワットやストレッチを取り入れることで、筋肉内の代謝が動き、脳への血流もよくなる

「グリコーゲンの余力が、思考の余力をつくる」――これが、生理学の事実だ。

鉄・亜鉛・ビタミンB群を“落とさない”

たんぱく質以外にも受験生に特に必要な栄養素は鉄、亜鉛、ビタミンB群がある。

鉄は酸素を運び、ミトコンドリアでATPを生み出す。亜鉛は神経伝達物質の合成や記憶の固定に関わり、ビタミンB群は糖・脂質・アミノ酸をエネルギーに変える「代謝の歯車」だ。

これらはどれか一つでも欠けると、エネルギーがうまく作れず、脳が“低燃費モード”に陥ってしまう。食事でこれらを意識的に補うことが、受験期のパフォーマンス維持に直結する。

受験勉強は、脳の持久戦だ。持久力を支えるのはカロリーではなく、「代謝を支える分子」たちである。糖をエネルギーに変えるビタミン、筋肉を維持するたんぱく質、脳を回す鉄と亜鉛。これらがそろって初めて、集中力が持続し、気分が安定する。

つまり、受験の勝敗は「何を食べるか」ではなく、「何で細胞を動かすか」で決まるのだ

小池 雅美 医師、こいけ診療所院長、なす医院非常勤医師、臨床分子栄養医学研究会特別認定指導医、漢方専門医

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こいけ まさみ / Masami Koike

漢方・栄養療法のみならず、各種統合医療を通じて培ってきた豊富な経験と顔貌、姿勢などから患者の栄養状態を言い当てる優れた洞察力で、多くの患者を改善に導く。体を見るということは、何らかの症状のある場所や検査のデータを見ることだけではなく、食事、笑い声、人間関係、仕事のやり方、そうした生活のすべてが含まれると考え、その延長として、漢方や栄養の勉強を始めて現在に至る。『気分の9割は血糖値』(東洋経済新報社)が初の著書となる。趣味はさかな釣り。

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