JR東海が示した「2つの増額見通し」の背景に「万博効果」とリニア工事にも影を落とす「インフレ苦」
JR東海は10月29日、「2つの計画」について、大幅に増額した見通しを発表した。
1つは業績計画だ。今2025年度の通期営業利益の見通しを7460億円(前期比6.1%増)とし、期初計画から790億円も上方修正した。
もう1つは、リニア中央新幹線計画における建設コストだ。品川―名古屋間の総工事費用はこれまで7.04兆円と見込んでいたが、それを11兆円と4兆円も大幅増額した。昨今の物価高騰が直撃し、建設コストが想定以上に膨らんでいるという。
あるJR東海の社員は、巨額な建設コストを受けて「社員の間には『会社の経営は本当に大丈夫か』との声がある。一方で、総工事費負担の増加について蓋をされていた(公表してこなかった)だけに、今回つまびらかにしたことをポジティブに受けとめている向きもある」と話す。
万博効果は想定200億円が400億円に
「今上期の決算については、非常に恵まれた環境の中での実績となった」
11月7日に開いた25年4~9月上期の決算説明会の席上、JR東海の武田健太郎副社長は好調な業績をこう総括した。通期業績見通しを上方修正した背景には、大阪・関西万博とインバウンドによる需要の急増がある。
24年度上期比(前年度比)で5%増と想定していた旅客運輸収入は、実績として24年度上期を990億円上回り、前年度比14%増の伸びを見せた。14%の内訳は、万博の開催に伴う利用増が6%、インバウンドの利用増が3%、ビジネス需要増などその他の要因が5%だった。
万博効果による増収は推計で約400億円。当初、万博協会の公表データから増収効果を200億円程度と想定していたが、蓋を開けてみると首都圏から万博へ向かう利用客が想定を大きく上回った。




















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